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        メールマガジン 「語ろうか、手話について」

Note.77                                             2006年10月11日発行
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  皆さん、こんにちは、大学時代の友人の結婚式に出たら、出席者がライバル
社ばっかりでエラく肩身の狭い思いをした徳田です。

  私はN社で、学友はF社。友人は職場結婚だったので、出席者している上司や
同僚もF社ばかりでさらに大学の先輩までF社なので、こんなめでたい席なのに、
勤め先がばれたら気まずい、いや生きて出られないかも(ちょっと大げさです)
と思うと、緊張しました。でも、出された料理はしっかり食べてきました。

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  自立支援法も一息落ち着いてしまった感がある今日この頃、と言うと誰かか
らは怒られそうですが、現場からちょっと離れたところで単なる通研会員とし
て活動している身分としては、しばらく事の成り行きをみているだけ、という
状況です。

  そんな少し余裕がある時期だからこそ、再構築委員会の報告を読み直してい
ます。
  再構築委員会については、昨年の冬、もう1年半以上前のNo.36,38,39に取り
上げました。
  だいぶ前の話なので、「それって何?」という方も多いと思うので、簡単に
紹介しますと、今後の手話通訳や制度のあり方について、全日ろう連と関係者
が集まって、国のお金を使って検討したのが「再構築委員会」で、その報告書
が今年の3月に出ました。この委員会の活動には、独立行政法人福祉医療機構
からの助成金が出ているので、事実上国からお金が出ています。

  報告書はダウンロードして読めます。

  聴覚障害者のコミュニケーション支援の現状把握及び再構築検討事業
  http://www.jfd.or.jp/info/2006/20060420-skckrep.html

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  この資料を読んでもらえば、とても重要なことであることはわかるのですが
あまり話題に上らないのは、たぶん、再構築委員会での議論が続いている頃、
全日ろう連も全通研も、自立支援法にかかりっきりになっていたからだと思い
ます。

  2月か3月ぐらいに全通研関東ブロックの会議がありまして、なんとなく私も
その場にいて、この再構築委員会について聞いたことがあります。答えてくれ
た人も、この委員会の重要性を認識しつつも、本部運営委員の会議では、自立
支援法で現場が急速に動いている今、このような報告書に何の意味があるのか
という意見も上がっていると言うことを話してくれました。
  そんなわけで、一時期は報告書の公表さえもなくなるかもしれないという噂
もありましたが、なんとか、かなり興味深い報告書がまとまりました。

  ということで、世間であまり注目していない、不遇の報告書ですが、語ろう
かでは何回かに渡って、この報告書を読んでいきます。

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  報告書は、現状分析、提言、資料編から構成され、全体で200ページにもな
る対策です。

  現状分析を読むだけでも、今の手話通訳制度の歴史と問題点が一望できる素
晴らしい資料になっています。
  私自身、通訳者でもなければ、福祉職でもないので、制度関係のことは曖昧
な知識しかなかったのですが、これはかなり勉強になりました。

  提言では、現状分析を元に、具体的に「こうあるべき」ということが書いて
あり、とても刺激的です。

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  でも、今回は初回と言うことで、資料編を見ていきます。
  資料編もいくつかの章から構成されていますが、今回注目したのは、利用者
とニーズ分析です。

  この調査は全国5都市から、それぞれ30人前後を対象に、手話通訳のニーズ
を面接などで調べたそうです。最終的に158人から回答を得たそうです。

  一番びっくりしたのが、対象者の6割が無職と言うことです。この調査は厚
労省による障害者の実態調査の年齢分布に沿ってサンプリングしたそうなの
で、この調査に限った話ではなく、そういう傾向なんでしょう。それにして
もびっくりです。もしかして、私が無知なだけで、日本の人口の6割は働いて
いなかったりして?

  ということで、この調査に寄れば、手話通訳のユーザというのは、時間に拘
束された生活はしていないって事です。
  これだけだと誤解されそうなので、少し詳しく見ていくと、6割の人は主婦
や定年退職者など、一般から見ても働いていない層です。ですから、6割が働
いていないのは、ちょっと多いけど、それほどびっくりすることはないのか
もしれませんが。

  もう一つ、年齢分布では面白い傾向がわかります。全体に対する各年代の
割合ですが、20代2.5%、30代6.3%、40代7.0%。かなり少ない。それに対して
60代36%、70代27.8%。これで半分以上。つまり、聴覚障害者って、厚労省の
調査に寄れば、ほとんどは戦争体験世代なんですよ。
  同時に、医療の発達が原因なのか、若い聴覚障害者が激減していることも
示していると思います。

  それをあわせて考えると、最終学歴のデータは興味深いものがあります。
  大学と短大の進学率をあわせると、9%。これは20、30代の聴覚障害者の数と
ほぼ一致します。もちろん、40歳以上でも大学を卒業した人はいると思います
が、今の若い世代の聴覚障害者は、たいてい大学は出ているということは言え
ると思います。逆に、大学を出ていないと学歴社会的には、不利な立場になる
わけで、同じ聴覚障害者でも格差が出てくると思います。

  そんなわけで、対象者の年齢だけでもエラく興味深いデータなのですが、も
う一つ思うのは、手話通訳の利用者というのは、介護保険の対象者とかなり重
なってくると言うことがわかります。

  介護保険導入時に、全通研でもエラク騒いだことがありました。私は、福祉
の仕組みが変わるから騒いでいるんだろう、と間接的にしか感じなかったので
すが、実は通訳の現場では直撃を食らっていたわけです。数字を見せられると
とてもよくわかります。

  自立支援法の議論では、1割負担が焦点になっています。私から見れば、1割
ぐらいちょっと残業すれば払える金額だし、聴覚障害者は就職率がいいから、
そんなに問題ではないだろう、と思っていました。
  が、再構築委員会報告書によれば、1割を払う大部分は年金生活など収入額
が決まっていて、介護費用などが増えて生活が苦しくなってきている世代だ、
と言っているわけです。確かに、その世代は厳しい。
  逆に言えば、今、仕事をして収入がある世代にすれば、1割負担は問題では
ないといえるでしょう。
  聞こえる人よりも、急速に聴覚障害者の世界には、格差社会が現実化してく
るのかもしれません。

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  なんとなく長くなったので、続きは、また次回。

  ところで、再構築委員会の報告書は、全体で約200ページにもなる一大巨編
でして、各都道府県のろう協や全通研支部には2部ずつぐらい配られたようで
すが、その先は欲しい人がダウンロードするか、コピーしてくれって事になっ
ています。
  でも、200ページですから... 抜粋しようにも、あちらこちら、削るには惜
しい内容なんですよね。
  ということで、千通研(全通研千葉支部)では、これを安く印刷して実費配布
する計画があります。希望者が多ければ実現の可能性は高いです。可能であれ
ば、県外の人でも、実費配布してあげたいと思います。
  実現するかどうかわかりませんが、もし、印刷したら欲しい、という方は、
部数などをご連絡ください。

  ちなみに、千通研では10月22日(日)に、再構築委員会のメンバーでもある山
形惠治氏を招いて講演会を開きます。非会員でも、少々の参加費を払えば、出
られるようにしますので、興味のある方は、どうぞご連絡下さい。

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  では、次回の不定期の語ろうかをお楽しみに。

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