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        メールマガジン 「語ろうか、手話について」

Note.48                                             2005年 8月24日発行
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  こんにちは、たぶん夏休みに突入した徳田です。
  この原稿が皆さんに届く日は、私の夏休み開始日。仕事が順調なら、待ちに
待った休みをエンジョイしているはず。たぶん。皆さんがこれを読む頃は、新
潟に向かって、車を走らせているはず。たぶん。
  仕事が順調に終わって夏休みに突入していれば、の話ですが...

  今回のテーマは自立支援法。ちょい前の「語ろうか」でもお伝えしましたが
今国会では廃案となりました。来週は初の夏集会に関するレポートとなり、支
援法の話も飛び出すとは思いますが、とりあえず、国会解散直後の各所での反
応を見ての感想を徒然と述べます。

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  衆議院解散決定直後、あるメルマガと、あるブログの計2箇所で、自立支援
法案が廃案になったことを無邪気に喜んでいるのを見て、ちと不安に感じまし
た。そんなところに、対策中央本部から、地域本部に、「障害者自立支援法案
に関わる国会審議について」という文書が届きました。そこにこんなくだりが
あって、がっくりきました。

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  解散に伴い、参議院厚生労働委員会で審議されていた「障害者自立支援法
  案」をはじめ61法案が廃案となりました。厚生労働省としてはこれを政治
  的アクシデントであると捉えておりますが、これは「障害者自立支援法案」
  の審議がこの時期まで長引くよう、議員などへ働きかけてきた全国皆様の
  粘り強い運動がもたらした成果であります。
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  一言、言いたい。「アホか」と。

  消費税の時の牛歩戦術然り、単に長引かせるだけの戦術は後年になってコメ
ディのネタになることはあっても、賞賛されることはないのです。
  それに、郵政民営化法案が通過して、自立支援法案も通ったら、我々の運動
の粘りが足りなかったとでも言うのでしょうか。
  厚労省の言う「アクシデント」という見方が妥当でしょう。

  この経験でわかったことは、厚労省のお役人がやると決めたら、我々にはい
かに抵抗しようともどうしようもないということです。今回は郵政民営化の煽
りを食って、たまたま、本当にたまたま巻き添えで廃案になっただけです。
我々の力なんて、地球上のあらゆる空気の分子運動を測定しても観測できない
ほどしか影響を与えていない、と思います。ちと大げさですが。

  がっくりきている一方で、こんな噂も聞きました。
  先日、ある神奈川の大会で、県ろう協(?)の理事レベルの人が「支援法その
ものには反対しない。要は、これをいかに聴覚障害者にとって良いものとして
実行させるかだ」という話をしたそうです。

  すごく、その通りだと思います。

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  この文書でも指摘していますが、廃案と言っても、原因が法案その物にあっ
たわけではないので、次期国会に再提出される見込みです。郵政法案は10月の
臨時国会での成立を目指すそうですが、それと同時期になるのか、年明けの
1月からの通常国会になるかはわかりません。
  最近の報道によれば、再提出に当たっての修正は全くなし。スケジュールが
短くなるだけ、という状況はさらに悪くなるような雰囲気さえ漂ってきていま
す。

  個人的には、国会のごたごたが長引いて、1年ぐらいスケジュールの先送り
になることを祈るばかりです。
  今のままでは、準備不足、時間不足で試行することになり、問題が噴出する
ように思います。直接影響を受ける障害者も大変ですが、法律を解釈して実施
する行政担当者も、死ぬほど残業することになりそうです。まともに実施でき
るのか、とても不安です。

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  さて、自立支援法については、聴覚障害者関連団体からは「過去に類を見な
いほどの悪法」とまで言われてこき下ろされております。

  ただ、だからと言って、全面否定するのはやりすぎだと私は思います。全難
聴は「やり直せ」とまで言っているようですが、それは非現実的。やり直した
からと言って、今より良くなるかと言えば、その保証はありません。むしろ、
代案なんか何年かかっても出てこないように思います。

  そういう意味で、私は、自立支援法は問題はあるけど、応益負担の導入以外
の部分は、それなりによくできていると思います。精神の部分まで包括的に扱
うのは高く評価できますし、規制緩和も盛り込まれているし、手続きの標準化
や審査会の設置もいいと思います。
  聴覚障害に限って言えば要約筆記が忘れられているといったことなど、色々
つつけば漏れはありますが、まず第一歩として、これを施行する意義は大きい
と思います。
  特に、手話通訳派遣制度が、これでようやく法制化され、市町村で義務とし
て実行しなければならなくなることは大きな一歩です。現在の手話通訳制度は
法律的には単なるお試しメニューです。夏だけの期間限定ロッテリアシェーキ
みたいなもんです。そんな制度でこれから何十年もあやふやなまま続くより
は、しっかり法制化される意義はとても大きいです。

  ということで、メルマガやホームページやブログでは、支援法反対の声が大
きいのでありますが、私個人としては支援法は賛成派です。

  はっきり書きましょう。私は自立支援法は、成立させるべきだと考えていま
す。

  たくさんの障害者に関わる法律です。全員が満足する法律を作り出すことは
不可能でしょう。となれば、一番ダメージがきつい人から対処していき、それ
なりに就職率も良い聴覚障害者が後回しになってしまうのは、ある意味、仕方
ないかなと思います。
  とは言え、私の主要な活動は全通研ですから、他の障害者よりも聴覚障害者
に対する面での活動がほとんどであることは当然です。

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  応益負担について、ちょっと思うところを述べます。

  障害者支援法の話が出てくると必ず、国の借金がどーのこーの、という前口
上がついてきます。

  でも、国の借金って障害者に関係あることですか? 400兆円(600兆円?)と言
われる国の借金って、障害者が作った訳じゃないでしょ。だって、昨年の支援
費だって、700億円ぐらい。毎年1000億円出したって、100年かけても10兆円に
しかならないんですから。
  そもそも、福祉とは困っているところにお金をつぎこむ仕組みなわけですか
ら、収支の面から考えたら「収」の部分が「0」なのは当然です。国の借金う
んぬんに我々が耳を貸す必要はないと思います。

  ただ、応益負担の導入は、障害者に負担を求める、というよりは支出の抑制
の意味合いが強いのではないかと思います。

  手話通訳は現物支給ですから、あまり関係ないのでしょうけど、全部無料に
してしまうと一般的にはひどいことになります。例えば、E-Mail。皆さんもす
ごい量の迷惑E-Mailを受け取っていると思います。私も1日あたり50〜100通ぐ
らい来ます。これも、1円でもいいから発信者負担する仕組みが最初から作っ
てあれば、ここまでひどくはならなかったと思います。
  1割は払う方にしてみれば高いのですが、払ってもらう方にしてみれば微々
たる金額です。その払う方が感じる割高感が、不正受給の防止など、抑止力に
つながると考えれば、受け入れるのも仕方ないのかもと思います。
  というのも、最近、色々な掲示板で、「障害者手帳をもらうといくらもらえ
るのか」とか「視力が○○だから手帳がもらえるのか」といった質問をよく見
るようになりました。不正受給なんて、暴力団の資金集めぐらいのものかと
思っていたのですが、最近は一般市民が誰もかれもあわよくば金をもらおうっ
て感じに風潮が強まっているように感じます。
  とばっちりと言えばそうなんですが、でも、現実問題、本来障害者に行くは
ずのお金が関係ないところで消えてしまう可能性は大きいわけです。その防止
策として、建前上は応益負担という話を持ち出すのは、しかたないのかもな、
と思うわけです。

  今回の支援法で金銭的に直撃を受けるのは、施設などの事業者だそうです。
正職員がバイトになる、リストラされる、事業が続けられなくて施設が潰れ
るといったことがドワッと出てきそうなんだそうです。介護保険で、組織的な
不正受給はかなりあるそうですから、その反動なんでしょうね。

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  日本の福祉は、そもそも傷痍軍人対策の意味合いが強かったそうです。ほと
んどの日本国民が戦争の影響を受け、本来働けるはずだった者が傷つき、長く
生きなければならない。それを救済するのが「福祉」だったそうです。厚労省
が遺骨収集の担当省庁というのは、その省庁ですね。

  今の福祉は子ども、高齢者、障害者の三者が対象です。中でも、障害者は人
口的に見たら、圧倒的少数。そして、なんだかんだ言って、日本経済はかなり
の高水準。少子化といういびつな問題を抱えながら、今後の福祉を、と考える
と、「応益負担ハンターイ」と叫ぶより、もっと何か別のことをやった方が得
策じゃないかとも思います。
  その意味で、再構築委員会には期待しています。

  再構築委員会の16年度の全文の報告書が、以下のアドレスから取得できます
ので、是非、ご一読を。
  http://www.jfd.or.jp/info/2005/saikochiku-rep.html

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  では、次回の語ろうかをお楽しみに。

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