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        メールマガジン 「語ろうか、手話について」

No.109                                              2005年 9月28日発行
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  こんにちは、来年のカレンダー予約の申込書を見て、もう1年の大部分が過
ぎたことにビビッている徳田です。

  そんなこんなで、読書の秋、ということで、本のご紹介です。
  といっても、今回ご紹介するのは手話の本ではありません。手話サークルで
使えるネタ本のご紹介です。

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  一昔前、「手話は具体的なものの表現は得意だけど、抽象的なものは苦手」
なんてことが言われていました。最近はあまり耳にしませんが、皆さんはどう
思いますか?

  言葉により、得意不得意というものがあると思われています。例えばドイツ
語は論理的表現が得意とか。
  私は英語さえろくろくできないぐらいなので、言語によりどーのこーのとい
うのはよくわかりません。コンピュータのプログラミング言語なら、C言語だ
と細かいところまで表現できるとか、Perlは文脈で解釈するので作るのは楽だ
けど読むのは大変というのがわかるのですが、なにぶん、コンピュータ言語は
人工言語なので、手話とは比較できませんし。

  ただ、自然言語でも、語彙の多少やら、ある場面や目的では使いやすい表現
があるとかないとか多いとか少ないということはあると思います。

  でも、抽象的表現というかなり主要な分野がごっそりと苦手というのはあり
えないと思うんですよね。だから「手話は具体的な表現が得意」という説は、
私が考えるに、使い手の手話の言語能力が不足しているから、とか、その人が
単に単語を知らないから、ということだと考えています。

  心理的に、もう一つの理由があると思います。それは、手話があまりに具体
的な表現が簡単な言語であるがために、抽象的な表現がかえって難しく感じる
ということはあると思います。つまり、手話のパントマイム的な表現が、具体
的なことをあまりに楽々と表現できるので、パントマイムで対応できない時に
どうしていいかわからない人が多いのではないか、と思うのです。

  本来、言葉の勉強というものは、訳わからん単語を覚えて、文法的に組み合
わせて、言いたいことを表現するはずです。単語そのものに何か意味を求める
なんてことはしないはず。本が、英語ではなぜに「book」の4つの記号の組み
合わせなのか、普通の人は考えもしないはずです。
  それなのに、手話の場合は「本」は本を開く動作で表現します。となると、
他の物もそういうパントマイム的な物だろうと思ってしまい、パントマイムで
表現できないこと、例えば、政治、理念、民営化なんてことを表現する時に、
ウンウン困ってしまうのではないかと思います。本来、「民営化」も「本」も
教えてもらわなければ、その単語は使えないのです。

  このあたりは、昔から手話の初心者向けの教科書に書いてある「自分で考え
て表現する」という手法の弊害なんでしょう。

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  というように、抽象的、具体的、ということについては、色々思うところは
あるのですが、私としては、自分で考える学習手法はあまりよくないと思いつ
つも、手話を実践的に使っていく上では、有用な武器であることは認めていま
す。むしろ日常会話ぐらいまで使えるようになれば十分な人にとっては、積極
的に練習した方がいいのではないかとも思います。

  そこで、昔、手話サークルで学習担当をしているときには、具体的な物を表
現する勉強方法を考えていました。

  その時に、これはいける、と思ったのが「物の名前」です。

  私が手話サークルでの学習担当だった頃、色々な例文を作って、表現の練習
をやってみたりしていましたが、抽象的な単語というのは、かなり注意深く例
文を作っても紛れ込んでしまい、だいぶ苦労しました。例文の方は、以前、こ
のメルマガでも流した例文になっているわけですが、もうちょっと初心者の勉
強にゲーム的な要素を取り入れた練習する時の参考書を探していて、「物、そ
う、まさに具体的な物の名前なら、具体的な表現にうってつけだ」と気がつい
たのです。

  残念なことに、一番熱心に手話サークル活動をやっていた学生時代には手ご
ろな本は手に入らず、構想とほんの少しのお試しだけで終わったのですが、な
んとここ最近1ヶ月ぐらいの間に立て続けに「物の名前」の本が3冊も手に入り
ました。しかも、サークルで使いたくなるような面白い本が。
  これは皆さんにご紹介せねば、と思った次第です。

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○「アレ何? 大事典」小学館 1365円  著者 佐々木正孝、監修 篠崎晃一

  この本が、偶然の始まり。
  2ページ1組の構成で、最初のページには絵が、その裏には名前が書いてあり
ます。すべての物に絵がついているのでわかりやすい、使いやすいのと、載っ
ている物が、あっ、この名前何だろう、知らないや、というものばかりなんで
す。

  どんな物が載っているかというと、「売っている靴下の両端を止めている金
属製のクリップ」「切手シートの周りの白い紙の部分」「自転車の車輪の中で
クルクルまわっているカラフルなブラシみたいなもの」ね、今まで知らなかっ
たけど、なんとなく知りたくなるような物ばかりでしょ。

  名前だけでなくてちょっとしたコメントが載っているのが嬉しいところで
す。

  ちょっと残念なのは、収録されている単語のうち、3割ぐらいは身体部位関
係です。これは、指させば終わりですから、純粋にクイズのようにしか使えな
いでしょう。

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○「ものの名前」幻冬舎 1365円  著者 北橋隆史

  新装開店の本屋に行ったら、上にあげた本と一緒に並んでいたのが、この本
です。なかなかわかっている本屋さんだこと。

  この本も絵と説明が載っているので、使いやすいと思います。上の本と違っ
て、1つの物を載せて、その部分などを細かく説明しているのが特徴です。例
えば、カーテンの絵が載っていて、カーテンを引っかける滑車の部分、両脇で
カーテンをまとめるフックの部分など、パーツの部分にも示しています。

  どれもこれもよく知っている物ばかりなので、それほど意外性はないのです
が、万人受けという点ではちょうどいいかもしれません。あまり収録語数は多
くないので、サークルの学習で3回も使えばネタ切れになりそうです。もっと
も収録語数で言うと、上の本も似たようなものですが。

  これと似たような本では、子供の百科事典のようなものがありますので、類
書を探すのは楽でしょう。

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○「モノの名前がズバリ!わかる本」河出書房新社 500円

  これだけ文庫本です。
  掲載されている物の数は一番多いのですが、言葉で説明されているため、勉
強では使いづらいかもしれません。というのは、最初に説明する時に、文章に
こだわってしまうかもしれないという懸念があります。
  また、もし、その物を知らない人だったりすると、絵がないのでどうにもな
りません。値段の安さとコストパフォーマンスではいいのですが。

  自分で絵を描くのが得意な人ですと、かなり長いこと使うことができるで
しょう。

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  今回、見つけた本は「実物は見たことあるけど、名前はわからない」という
物を解説した本です。

  サークルでの使い方は色々あると思いますが、私が考えたの方法は次の通り
です。

  1. 5人ぐらいのグループを作る。なお、本を持っているあなた自身は、どこ
     のグループにも属さない。
  2. 各グループから1人だけに、本から選んだ物の正体を教える。
  3. グループの他の人には、名前だけ教える。
     そして、こう言います。
     「さて、それは何でしょう?
       この人が、手話で、これがどんな物かを教えてくれます」
  4. 物の正体を知っている人が、手話とパントマイムを織り交ぜて、その物
     の形や様子、使い方などを説明する。
  5. 他の人が、その物が「あー、あれか」とわかればOK。

  あとは工夫次第で、ゲームの方向に改良することも、勉強の方向に改良する
こともできると思います。ゲームでしたら得点を付けて競争させるとか。勉強
でしたら、関連した物をどんどんあげていってもらうとか。
  このあたりの工夫が担当者の腕の見せどころ、楽しみどころです。良いアイ
デアが浮かんだから、私にも教えてください。

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  では、次回の語ろうかをお楽しみに。

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