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_/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』 _/_/
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No. 93 2002年 7月 2日発行
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皆さん、こんにちは。ボーナスが出て、なんとか生き延びた徳田です。最近
はボーナスも出ないとか、元々ボーナスなんかないという人も多いので、もら
えるだけとてもありがたいのですけど、調子にのって買い物していたら、あま
り手元には残りませんでした。トホホホホ。
今回は、前回に引き続いて手話研修センターの話です。前回は国リハと情文
センターにダメ出し(欠点の指摘)をしたのですが、何事もダメな点をあげつら
うのは簡単で、「じゃ、どうすればいいの?」というところを論じて、初めて
有用な意見になるとは思ってはいます。ですが、今回のテーマは、ちょっと話
が大きくなりすぎて、私の手に負えなくなるので、今回もダメ出しだけで勘弁
して下さい。
そんなわけで、今回は研修センターの問題点をあげていきます。できるだけ
何らかの資料を根拠にした話をしていきますが、一部、私の想像が入っていま
すので、事実と違う点を見つけ方はご一報下さい。
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さて、研修センターです。正式名称は「全国手話通訳研修センター」で、
2002年1月に社会福祉法人として認可され活動が始まっています。先日、京都
市から勤労者研修センター「コミュニティ嵯峨野」という建物を無償提供して
もらい、そこを本拠地とすることになりました。
私は、研修センターの設立の話は、社福を取ったときに、とても唐突に感じ
たのですが、関わっている人に言わせれば、話としては昔からあったそうで
す。私の手元に、2002年2月21日付けの「全国手話研修センター(仮称)の学習
会」という資料がありまして、講師として手話通訳士協会事務局の川根紀夫さ
んが話をしています。この学習会には、私は参加した覚えがないので(なんで
資料だけあるのかは不思議ですが、たぶん、全通研千葉支部の広報誌に添付さ
れていたんでしょう。)資料から判断するしかないのですが、川根さんの肩書
きが「手話研修センター準備委員」となっていますので、いつからかわかりま
せんが、全日ろう連、全通研、士協会の三者で準備を進めていたことはわかり
ます。
それで、研修センターの事業内容ですが、全通研の研究誌「手話通訳問題研
究」の2003年春号(No.83)によれば、以下のようになっています。
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1. 手話通訳者養成担当講師研修会
手話通訳者養成基本課程、応用課程、実践課程を担当する講師の方々
を対象に教材研究・講座運営・指導力の向上について研修を行います。
2. 手話通訳者現任研修会
手話通訳士を目指す手話通訳者の方々を対象に、必要な基礎知識や技
術について研修を行います。
3. 手話通訳士現任研修会
手話通訳士の方々を対象に、よりいっそう専門性を高めていくために
必要な基礎知識や技術について研修を行います。
4. 講師養成を担当する人たちの研修会
大学、専門学校等で講師を担当している方、また地域で講師養成を担
当している方を対象に、抗議概要の作成、指導案の作成、抗議・技術
の指導ポイント、教授法などについての研修を行います。
5. 手話通訳者登録試験事業の実施
都道府県、政令都市において手話通訳者の登録のための共通の試験を
実施しています。
6. 研修用教材テキスト、ビデオの作成
学習者用、指導者用および通訳者・士の学習用のテキストやビデオの
開発・制作、普及を図ります。
7. そのほか
宿泊、研修機能を生かし、関係団体と協議しながら、皆さんのご要望
にお応えできる研修事業を計画していきます。
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こう言っちゃ何ですが、結構、ありきたりです。で、今後の話のために、押さ
えておきたいポイントは次の3つです。
- 書籍の販売が、全日ろう連や全通研から、研修センターに移る
両団体にとって、書籍販売というものはドル箱的なものなのですが、研
修センターの収入源としてかなりの部分を移譲します。全部ではありま
せんが。しかし、全日ろう連や全通研は財政的に苦しくなるのは確実で
す。
- 統一試験の実施主体は研修センター
これが研修センターにとっては一番大きな事業になると思われます。
- 宿泊施設やレストランがある
前身の勤労者研修センターにくっついていた施設はそのまま引き取るの
が条件だったらしいです。
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さて、この手話研修センターのなにが問題なのか? 、私は、大きく分けて2
つあると見ています。
1つ目は、上記の事業を適切に実施しているかは誰が判定して制御するのか?
という点です。確かにお金も人も出しました。だから好きなようにできます。
でも、好きなようにやれば適切にできるのかどうか。色々なしがらみがあって
結局、五十歩百歩になるのではないかと心配します。
特に気になるのは5番目の登録試験、つまり統一試験です。この試験の構想
があがってきた背景には、手話通訳士試験が必要以上に難しすぎて、合格者が
少ないという事情がありました。そして通訳士になっても、地域で活動するた
めには地元の試験を再度受けさせられる現状があります。そこで、一度試験に
合格すればどこの都道府県でも活動できるようにというお墨付きを与えられる
ものを作ろうとしたのが統一試験のはずです。
しかし、最近の状況を聞いていると、いまだ試験を実施している地域は少な
く、実施した地域でもとても合格者が少ないそうです。今のところ、第二の手
話通訳士試験を作っただけのように思います。
もう一つは資金的な問題。これは今年になって表面化したホットな話題で
す。建物の無償譲渡とは言っても、実はそれは京都市分だけで、それ以外の分
はお金を出しています。すごくおおざっぱな資料ですが、「全通研会報 臨時
通巻56号」(2003年4月1日発行)によれば、次のようになっています。
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工事必要経費 383000000
工事経費 343,000,000
建物有償譲渡経費 (能力開発機構分譲渡価格) 3,000,000
建物改修工事費 330,000,000
そのほか 10,000,000
工場休業中にかかる経費 40,000,000
* * * *
資金計画 383,000,000
日本自転車振興会補助金 246,000,000
自己資金 97,000,000
全国募金 50,000,000
基金取り崩し 47,000,000
借入金 40,000,000
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罫線を引いていないのでちょっと見にくくてごめんなさい。噂の募金は資金計
画の中の自己資金として計上している9700万円のうちの「全国募金」となって
いる5000万円です。
私の注目しているポイントは、社福法人として供出した1億円の基金のうち
約半分を取り崩してしまうことと、4000万円の借金を背負うことです。もし、
研修センターの運営が赤字になれば、借金はさらにふくらみます。昨年度は単
年度黒字を達成したそうですが、今年は半年間は改修のためで営業できません
ので、おそらく赤字経営を見越しての借入金と思われます。とすれば、この施
設はほっておくと毎年4000万円の赤字を出すかもしれないと想像できます。
全日ろう連の資金繰りがどうなっているのかは私は知りませんが(会員でな
いので決算とか見られませんし)、今年の全通研の決算を見ている限り、全通
研が耐えられる借金の金額は2〜5千万円程度と思われます。研修センターが赤
字を出したとして面倒が見られるのは2年が限界かと思います。
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率直な感想として、「国リハや情文センターが思い通りにならないから、研
修センターを作ってみました」というように見えます。これは前掲の川根さん
の講演記録にある「自ら切り開き、勝ち取ったもの」とか「我々の施設」とい
う言葉からも感じ取れます。
全日ろう連にしても、全通研にしても、ずっと地道に手話に関わり続けてい
るんですから、社福格が取れるのは当然ですし、施設も赤字物件を押しつけら
れただけですから、すごいことではないと思います。もしかしたら、貧乏くじ
を引いただけかもしれません。
一番順当なやり方は、国リハや情文センターがうまく運営できれば良かった
はずです。それに失敗したと言っても、それは全日ろう連や全通研から見た考
え方であり、もしかしたら、全日ろう連や全通研が間違っているのかもしれな
い。ですが、私は、そのあたりの検証は特に聞いたことがありません。このま
ま突っ走って、研修センターが第二の国リハになる可能性もあります。ただ、
研修センターの社福の理事は三団体から出ていますから、その可能性は低いの
は事実ですが。
前回述べたとおり、私も国リハや情文センターはダメだったと思うのですが
だから研修センターが成功するとも思っていません。むしろ、先行き怪しい雰
囲気が漂ってきていると思います。全通研会員としては、注意していかなけ
りゃアカンと思っています。
ほんではでは。
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