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             _/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』   _/_/
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No. 79                                              2002年 5月 8日発行
ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

  連休も終わりました。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
  この原稿を書いているのは連休の最終日。懸命な読者の方はお気づきでしょ
う。「えっ、結局、全然原稿を書きためていないの?」その通りです。という
ことで、来週はお休みかもしれないと思いつつ、とりあえず次の日曜日のがん
ばり次第と言うところです。

  ただ、夏ぐらいに本業がメチャ忙しいと思います。とりあえず、今年の全通
研学校の東京は、言語学での手話がテーマなので、その前には「自然言語処理
学から見た手話」を完結させて、区切りがいいところで、隔週か月刊にしよう
と思います。それまで、それからもどうぞ気長によろしくです。

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  今日の話題は、5月3〜5日に開催された全通研代議員会です。
  実は私、今回初めて参加しました。「今回で何回目?」なんてことを言われ
たのですが、ほんと、初めてです。参加しようとしてできるような会ではない
ので、とても貴重な体験をさせてもらいました。

  全通研代議員会というものがあるってことは知っていたんですけど、それが
一体何なのか、いまいちよく知らなかったことも事実です。で、これが何かと
言うと、簡単に言えば「全通研の定期総会」です。No.77の「中から見た全通
研」の図を再掲します。


                            代議員会
                               |
                               +---支部長会議--支部代表者会議
                               |
                           運営委員会--四役会議--常任委員会
                               |
           事務所--事務局------+
                               |
   +-----------------+---------+-------------+---------+
   |                 |         |             |         |
  研究出版部        財政部    健康対策部    組織部    研究支部
   |                           |                       |
   +- あり方検討委員会         +- 健康対策委員会       +- 編集部


  ほら、この一番上に「代議員会」がありますね。つまり、ここで決まったこ
とが全通研の意志となって、運営に反映されていくわけです。その運営の実行
部隊が「運営委員会」ですね。通称「本部」と呼んでいます。これは各都道府
県にあるのが「支部」なので、その対義語ですね。

  全通研に入って10年ぐらい。今までは、一般会員の私でしたが、今回初めて
代議員会に参加させてもらって「はぁ、そういう話だったんですかぁ」と思う
ことが、いくつかあったので、今日は、そんな話を徒然なるままにお話ししま
す。
  そんなわけで、今回の話は、たぶんどこよりも早い代議員会報告となります
が、あくまでも個人的な感想文なので、公式な記録は今後出てくる代議員会の
報告集を読んでください。

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  前にも言いましたが、代議員はなりたくてなれるようなものではありません
し、代議員会もそう簡単に参加できるようなものではありません。傍聴はでき
るような雰囲気でしたが、通訳が付かないのでろう者は参加しても無意味で
しょうし、あの暑い部屋に3日間いるのは、代表という意識を持っていないと
かなり苦痛なんじゃないかなと思います。そう、代議員は支部から代表として
選ばれるのです。これは支部の会員数で決まっています。なんと、私は会則を
なくしてしまったので正確な代表者人数がわからないのですが、今は各県から
2名以上の代表が来ています。千葉は会員数が300名ちょいで、代議員数は4名
です。代議員会に参加する代議員数分の交通費と宿泊(必要なら)は本部が負担
してくれます。下世話な話、代議員になれると東京までただで来れて、寝ると
ころと朝ご飯はもらえるわけです。まぁ、半日+1日+半日の間、会議室で缶詰
になる分の役得ですかね。

  私は、千葉の4名のうちの1人になれたというわけです。かなり運が良いと思
います。熱心な「語ろうか」の読者の方はご存じだと思いますが、私の過去の
活動歴を見ればわかるように、あまり全通研の活動をしていた訳ではありませ
ん。ほとんどはサークル。あまり人の目に触れないようなローカルな活動が中
心です。運動とかは苦手なんですよね。でも、私が代議員に選ばれたのは、連
休に暇な人間がいなかったことと、記録役としてはうってつけだったというこ
とでしょう。

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  さて、代議員会が何かよく知らないまでも、そこに行けば色々と全通研のこ
とがわかるはずだと思ったので、ある種の期待をしていました。

  ここ数年の全通研の活動に対して、私は2つの疑問点がありました。それは
手話研修所と統一試験です。
  私がこの世界に足を踏み入れてから、手話通訳に関して、認定・設置・派遣
養成の4つが目標と言うことを散々繰り返し聞いてきました。設置、派遣は、
言わずもがなの通訳者を現場に投入することです。私が疑問に思っていたのは
認定と養成です。我々の運動は「認定」として、手話通訳士の資格を成立させ
ました。「養成」として国立リハビリテーションセンターが設立されました。

  それに対して「統一試験」は通訳士の代わり、「手話研修所」は国リハの代
わりです。私のとらえ方では。つまり、私は、これらを提案してきたというの
は「今までのは失敗だったから、やり直します」ということではないかと思っ
たわけです。統一試験の状況はあまりよくわからないのですが、手話研修所の
話はとても早急すぎます。基本構想概要が送られてきたのが2002年の1月なん
ですから。過去を総括せずに「駄目だったら、やり直します」で、今度はきち
んとできるのか!?という疑問があったわけです。

  でも、今回の代議員会では、この2つはすっかり過去のことになって、あま
り話はありませんでした。私も状況がよくわからないので、今回は様子を見る
ことにしました。

  そんなわけで、過去の状況がわからない私ですが、それでも「これは爆弾だ
な」と思った議題は2つありました。

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  爆弾の話の前にNPO法人の話。

  千葉支部では、意見書に4つの意見を出していて、それを手分けして発言す
ることになっていました。私はたまたま法人化の話について聞くことになった
のですが、予想半分意外な真実半分って所でした。元々法人化して何のメリッ
トがあるのか、という点から、議論が曖昧になっている点があって、私はその
あたりからもうちょっと話を煮詰める必要があると思っているので、すでに形
骸化した話題だよなぁ、とは内心思っていました。

  本部の回答は「NPO法人化は諦めた」ということです。NPO法人では意志決定
機関として加盟者と団体による議決が必要だそうで、現在の全通研が行ってい
る代議員制という法人のみからの決定とはそぐわないそうです。それで、今は
中間法人を考えているそうです。

  中間法人が出てきたのは、意外。というか、本部も色々と考えてるんじゃん
と思いました。でも、中間法人は「公益事業を行わない団体」を想定している
そうですから、たぶん、これも駄目でしょうけど。

  まぁ、最も肝心な理由は全通研の歴史にあるのですが、話が長くなるので、
別の機会にします。

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  さて、爆弾の1つ目。当日、通訳者のモデル要項という資料が本部から出さ
れました。「手話通訳等支援事業実施要項」という名前が付いていました。こ
れは派遣と設置という通訳者の業務が曖昧になりつつある現状を鑑みて、手話
通訳の仕事として統一した見解を出そうと言うものだそうです。つまり、派遣
と設置の統合です。

  これは運営委員の機関を通したわけでもなく、勝手に作ったものだという言
い訳の元で、皆さんからのご意見を集めたいとの話でしたが、かなり重要な文
書です。これって公開されるのかどうかわかりませんけど、注目部分だけ引用
しておきます。

  ほとんどは過去にどこかにあった話の総まとめなのですが、「事業内容」と
いう箇所に代議員さんの注目が集まっていました。

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  手話通訳等支援事業は次に掲げる事業をいう。
  (1) コミュニケーション支援及び情報提供に関すること
  (2) 生活援助に関すること
  (3) 手話通訳者の養成・研修に関すること
  (4) 手話通訳者の派遣に関すること
  (5) 社会資源の開発に関すること
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当たり前と言えば、そうなんですが、生活援助というものを入れたのは全通研
の今までの主張である「ケースワーカー的通訳者」の像を明確に表現したもの
と言えるでしょう。それと5番目の項目は、必要なら何でもする、という条項
ですね。人によっては、意味があると感じるかもしれません。

  この委員の元になったのは自治体通訳者会議とかいう、自治体で正職員とし
て通訳をしている人達の有志の集まりから選出された人が中心になって議論し
ているそうです。私が以前、石川にいた時にすごいお世話になった人がいて、
この文書の書き方が、とてもその人の口調が出ていたので、「なるほどなぁ」
と思いました。だから、私としては、こんな文章が出てきた雰囲気がよくわか
るのですけど、手続きを経ていないのはまずいよな、と思いました。
  今後、色々と議論して、煮詰めていきたいということなので、そこで正式な
文書になって公開されるのではないかと思います。

  この文書は、今後手話通訳の設置や派遣運動をやってく時に行政に対して、
その具体的要望を出す時の指針となるものです。かなり有効な武器になる文書
だと思うので、今後、要チェックでしょう。

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  爆弾の2つ目。これを爆弾の2つ目と思うかどうかは人それぞれだと思います
が、私は「へぇ」と思いました。

  それは、統一試験についての見解です。これは上記の文書の流れから出てき
た話ですが、ある人から「統一試験が実施されるようになると、試験に合格し
た『手話通訳者』(これは統一試験に合格した人に与えられる資格の名前です)
のみが通訳として働けることになり、今まで手話通訳をやっていたが試験に落
ちた人は首になるのではないか?」という質問が出ました。
  現状を見ていると、「手話通訳ができるなら、試験に当然合格するだろうし
試験に合格しない人は技量がないのだから首にっても仕方がない」という意見
を持つ人がいます。かなり筋が通っているのですが、現在行われている「手話
通訳士」試験を見ると、これはいかがなものか、と思います。というのは、手
話通訳士試験は、試験内容の一部がとんでもなくひどい時があるんです。日本
語知識とか言語学の知識を問うものがあって、「えぇ、こんなの知らなくても
いいじゃん」というものがあります。そんな変な問題に振り回されていること
を考えると「手話通訳ができるなら、当然試験に合格する」とは言い難いのが
現状です。

  それは本部も、というか本部の方がよくよく感じていて、この議論の締めく
くりに次のような発言がありました。「通訳士試験はやっぱり全日ろう連が受
けるべきだった。あれが東京情文センターへの委託事業となってしまったこと
に問題がある。」その通りなんですが、そこまで率直に言ってしまっていいの
か、とびっくりしました。代議員会って本音が飛び交うんですねぇ。

  さらに次のような発言もありました。「今度の統一試験は、運用するのも試
験問題を作るのも我々の仲間。だから、やりやすい」と。これは過去の反省を
踏まえた上での発言かもしれません。しかも手話研修所にも関連しているし。
でも、こういう発言はもっと早く聞きたかったな。

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  討論集会の案が出ていました。結構面白い案なんですが、案なんで、この通
り行く可能性は低いそうです。というのは、分科会を増やすと共同研究者を増
やさなくてはなりません。でも、ろう連がその経費増に難色を示しているそう
です。不景気ですから、しょうがないですけどね。ということで、幻の案にな
るかもしれませんが、とりあえずご紹介。

第1分科会  「登録手話通訳の活動」
第2分科会  「手話通訳者派遣事業」
第3分科会  「手話」(現行通り)
第4分科会  「手話通訳者の仕事」
第5分科会  「手話奉仕員養成の運営」
第6分科会  「手話通訳者養成の運営」
第7分科会  「専門学校等での手話講座」 (現行通り)
第8分科会  「テレビと手話通訳」(現行通り)
第9分科会  「医療」(現行通り)
第10分科会 「労働」(現行通り)
第11分科会 「手話サークル」(現行通り)
第12分科会 「手話通訳者の健康」(現行通り)
第13分科会 「高齢者・重複障害者問題」 (施設関係をここに移動)
第14分科会 「手話通訳者の設置に向けて」
第15分科会 「手話講習会の取り組み」(運動面が中心)
第16分科会 「学校、企業での手話普及」
特別分科会  基調講演と、その討論

  第16分科会について「企業と学校を一緒にするのは少し乱暴ではないか」と
いう意見が出ていましたが、私は、両方とも閉鎖的な所に切り込んでいくとい
う点では同じだから、これは結構面白いなと思いました。

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  さて、今回の議決では、会則改正の第4合議案が否決されました。会則の改
定の議案です。ささいなことだと思うのですが、少しドタバタしまして、その
あたりで、本部の準備不足を感じ取った代議員がいたということだと、私は思
いました。私も反対した1人ですが、これは決して改正案に反対というわけで
はないのですが、あまりに準備不足な場合、なあなあでは議事も通しませんよ
という代議員会としての役割が明確に現れた証拠だと、私は思いました。

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  今までは、このメルマガでは全通研のことを肯定的に書いてきたと思うので
すが、今回はかなり色々とすったもんだを書いてみました。こんな風に話がで
きるというのは、正常な組織である証でもあると思います。まぁ、私も全面的
に全通研を肯定してばかりいるわけではないわけですよ。不満もある。でも、
それを良くしていくことには私を含めて、誰しも異存のないところでしょう。

  もっとも、これは全通研だけでなく、どの組織も同じですが。来週はいよい
よDproの話になると思うのですが、私はどんな団体も、悪の秘密結社のように
は決めつけていないつもりです。悪いことは悪い、良いところは良いと認めて
そして世の中全体を良くするように活動できればいいと思います。そういう意
味では私は手話技能検定にも良い面と悪い面があって、良い面はどんどん延ば
して欲しいと思います。そんなこんなで、来週のDproはかなり辛辣な意見が飛
び出すとは思いますけど、別に叩きのめすのが目的ではないので、そのあたり
よく頭に留めておいてください。

  では、また来週。

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