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             _/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』   _/_/
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No. 78                                              2002年 5月 1日発行
ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

  皆さん、こんにちは。長い連休をどのようにお過ごしでしょうか。人によっ
ては短いかもしれませんが、私は「休日割り増しの給料がもったいないから、
休暇中は、会社に来るな」(半分冗談、半分本気、らしい)ということで、長い
休みを楽しんでおります。社会人にとっては、夏休みや冬休みよりもゴールデ
ンウィークの方が長いんですねぇ。学生の時は知りませんでした。

  ということで、久しぶりの長いお休みなので、私は部屋を片づけて、たまっ
たメールを読んで、原稿を書きためています。と言っても、今、これを書いて
いるのは、火曜日の夜で、未読のメールは、まだ200通ぐらいありますけど。

  そんなわけで、時間があまりないので、久しぶりにつれづれ埋め草です。前
のつれづれ埋め草からは、4ヶ月ぶりということですが、最近、雑多なネタっ
てのもないんですよね。ということで、ご意見、文句、タレコミは24時間、募
集中です。

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  「踊る大捜査線」というドラマをご存じでしょうか? もう2年ぐらい前です
がフジテレビ系列で放送されていた刑事物ドラマです。今までの刑事物と違っ
て、銃をバンバン撃ったり、車をぶつけながら走るってこともありません。逆
に、行政組織の中での警察官の姿をコミカルに描いていて、かなり大ヒットし
ました。

  なんで、その刑事物ドラマを取り上げたかというと、古本屋をフラフラして
いたら、このドラマのDVDを発見したからです。このDVDは、かなり画期的なん
です。なんと、日本語字幕が入っているんです。

  このドラマに聴覚障害者が出てくるわけではないのです。ただのコメディー
刑事物ドラマなんです。このDVDが発売された頃、まだDVDそのものが珍しい頃
で、字幕が入れられるという機能を使ってみたかったということなのかもしれ
ませんが、理由は定かではありません。でも、とにかく、日本のドラマなのに
字幕が入りました。

  このとき、聴覚障害者関係の筋から「DVDは日本語字幕がある」なんて話が
ぽつぽつ出てきてました。実際は、機能があるだけで、日本語字幕を付けるか
どうかは製作者次第です。私は「日本語字幕を付ける流れが主流になればいい
けど、今の状況からして難しいだろうな」と思ったら、ホントにそうなりまし
た。今、数々の日本のドラマがDVDとして発売されていますが、日本語字幕が
付いている物は、ほとんどゼロに近いです。例外は、「君の手がささやいてい
る」ぐらいではないでしょうか。他に日本語字幕が付いているDVDがあれば、
どなたか教えてください。あ、当然ですが、日本の物で。(海外ドラマは字幕
が付いているのは当たり前なので。)

  そんなわけで、とても懐かしくなって、改めて「踊る大捜査線」を見てみま
した。字幕付きで見ましたが、これがとてもよく出来ているんですよ。音声と
ほぼ欠落のない字幕が、いいタイミングで出てくるんです。舌をかみそうな掛
け合い部分もよくわかります。いいドラマは是非、字幕を付けて欲しいな、と
思いました。

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  武田麻弓という人をご存じでしょうか。

  先日、月曜日の「スーパーテレビ」という番組で彼女のことを取り上げてい
て、私は、それをビデオに録画していて、この連休になって、ようやく見まし
た。彼女は、自叙伝を2冊も出しているので、詳しいことは、そちらに譲りま
すが、番組によれば、若い女性からの共感を得て、本もスマッシュヒットして
いるそうです。私は文庫が古本屋で並んでいるのを見たので買いました。こん
なことを言うと、怒られそうですけど、結構古本屋で見つかります。

  番組と本によれば、彼女は1970年生まれ。3歳で病気の熱で失聴。学校を出
た後、リクルートに入社。日本に来ていたアメリカ人の軍人と恋をしますが、
彼はしばらくしてアメリカに戻ります。彼女は後を追いかけようと、渡米費用
を稼ぐために会社を退社、風俗で働きだします。それが週刊誌などで取り上げ
られて家族とは断絶。でも、お金は貯まって、渡米。しかし、彼には家族がい
て、放浪。そこで別の男と結婚しますが、それがギャングでHIV患者。その男
との離婚手続きのごたごたが続くうちに4年がたち、その間に2児の母。でも、
今年の5月に別の男性と結婚し、今は幸せに暮らしているそうです。

  最近の様子は、私もテレビ番組を見て、初めて知ったのですが、なにはとも
あれ、なんとか落ち着いたようで良かったと思いました。ただ、番組の取り上
げ方が、ちょっと気になりました。番組では、彼女の風俗に入った頃からの激
動の人生は、幼い頃に障害が原因でいじめられたり、親から受けた厳しい発音
教育の反動という解説が付けられてました。それはどうかなぁ、と私は思いま
した。それこそ、本に共感するような、一般の若い女性には、こういう話は珍
しいかもしれないけど、親が口話で厳しく指導したとかは、よくある話。私は
単に彼女の性格が、こういう激動の人生を歩ませたんじゃないかな、と思いま
した。

  私が彼女を知ったのは、その風俗で働きだした頃です。あるアダルトビデオ
監督の個人ホームページで、聴覚障害者の彼女が出ているAVを紹介していて、
それを見つけたのが最初です。今では、このページはなくなっていますが。そ
れを見た時は、それこそ、以前「刑事物語」に出てきたような人が本当にいる
んだなぁ、と思ったことを覚えています。

  最後に、彼女の本が買えるサイトを紹介しておきます。

  いつまでもファイト! (幻冬社、1400円+税)
    http://shopping.yahoo.co.jp/shop?d=jb&id=30970100
  いっしょにファイト! (幻冬社、533円+税)
    http://shopping.yahoo.co.jp/shop?d=jb&id=30857277
  ファイト! (幻冬社、533円+税)
    http://shopping.yahoo.co.jp/shop?d=jb&id=30793858

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  ナチュラルアプローチって、ご存じでしょうか?

  単純に言って、手話で手話を教えるという方法です。国リハの木村先生あた
りが熱心にやっている方法です。最近、ナチュラルアプローチについて、聞い
てくる方々が多いので、ちょっと思うことを書いておきます。本当は1回分ぐ
らいの原稿になればいいんですけど、そこまでの文字数にはならなかったので
ここにチョロッと書いておきます。

  私は無理があると思うんですよ。ナチュラルアプローチは。その理由は、大
人になってからの脳は、子供の頃とは違うということがあります。これは「第
二言語の教育」というキーワードで研究されているのですが、教育学の分野で
子供が言葉を教える時と、留学して言葉を覚える時、だいぶ状況が違うようだ
という結果が出ています。単純な話、大人の脳みそは固いわけです。

  自然言語処理の研究では、言語翻訳において、大別して2つの方式が研究さ
れていました。1つがトランスファー方式、もう一つが中間言語方式です。例
えば、日本語と英語を翻訳する場合、日本語を解析して英語に直すのが前者で
す。それに対して、後者は、日本語でもなく、英語でもない仮想的な言語に変
換して、それを目的語となる英語に変換する方式です。後者は、もしタイ語に
適用したいとしたら、あまり改造をせずに使えるという利点があります。その
点、トランスファー方式は日本語と英語を変換するルールを沢山作らなければ
なりません。

  でも、中間言語方式は失敗しました。中間言語という仮想的な言語を作るの
がとてつもなく難しかったのです。そんなわけで、今の機械翻訳は、トランス
ファー方式で動いています。これは言語から言語への変換は1対1でやる方がや
りやすいことを示していますが、私は、これが将来的には、大人の脳の動きに
つながるのではないかと考えています。そして、それは大人の脳の場合は、言
語間の変換規則を覚えていく方が、楽だと言うことにつながるのではないかと
考えています。楽だから良い、というわけではないでしょうけど、ナチュラル
アプローチのような、まったく変換規則を与えない方法は、大人には無理があ
るんじゃないかな、と思います。

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  電子情報通信学会という、私の所属している業界では超巨大、超有名学会が
あります。この学会の中には、いくつかの研究会があって、それぞれが年に数
回、研究報告書を出しています。つまり、論文集ですね。私は、信学会そのも
のの会員ではないのですが、その中の福祉情報工学研究会の会員になっていて
研究報告書を受け取っています。

  その最新号が届きました。ちょっと前は手話のデータ収集機器の開発という
テーマが多かったのですが、今回はそれらの機器を使った具体的な現象観測と
いう研究が多くて、なかなか面白かったです。

  でも、そうではないのがあって、これにはびっくりしました。悪い意味で、
びっくりしたんですけどね。研究会の報告集は査読がないので、投稿すれば、
ほぼ審査無しで載るんです。だから、とんでもないのが載る可能性はあるので
すが、そんなひどい論文は、投稿する人本人が恥ずかして、投稿しません。で
も、たまにわかっていない人が投稿してしまうことがあります。それが、私が
びっくりした論文です。

  投稿者名はあえて伏せますけど、タイトルは「手話言語の音素配列論にかか
わる問題点およびその克服」というものです。論文というものは、まず序文で
問題の分析があって、次にその論文内での問題への解決方式や過去の手法との
比較があって、次に実験方法、結果の評価、結論と続きます。少なくとも工学
の分野では。でも、この論文は解決方法の提示に、たった1つの数式が書いて
あるだけ。で、実験をやっていない。当然、結果もないし、結論はただの言い
訳です。そして、私が一番驚いたのが、この数式の意味する物は、すんごく昔
から暗号解読方式で述べられているものと同じだったことです。シャーロック
ホームズをご存じの方は「踊る人形」を思い出してください。あの隣接した文
字の出現頻度が数式になって書かれていただけなんです。

  人文学系では、これで論文になるのかもしれないけど、まさか工学でこんな
論文を見るとは... って、私が驚いただけで「だから、どうした?」という意
見もあるでしょう。ま、そうなんですけどね。ただ、この業界は「手話」を絡
めただけで、研究とみなされてしまうことがあるんですね。そのあたり、注意
していかないと、いかんなと思います。自省の意味も込めて。

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  本屋をフラフラしていて、2つほど面白いものを見つけました。

  1つ目は資格試験の本です。不景気で就職難の今日この頃。資格の本が目に
つきました。資格と言えば「手話通訳士」。「資格の取り方ハンドブック」と
いうような本を片っ端から手にとって、「手話通訳士」の項目を探してみまし
た。

  ほとんどの本で載っているんですね。載っていなかったのは「お金になる資
格」という本ぐらいです。残りの本でも「手話通訳士」の項目で、お勧めとか
高収入に丸が付いている本は、ありませんでした。やはり、この手の本は客観
的、現実的なことが書いてあります。中には「ボランティアはできるようにな
るが、これだけでは生活できない」とはっきり書いてある本があり、感心しま
した。

  本屋でフラフラしていて見つけた面白いもの2つ目は、日本語の本です。
  私が本屋をフラフラしている時は、手話サークルで使えるネタを探している
ことが多いのですが、まさにそういう本を見つけました。「ことばの意味を教
える教師のためのヒント集」という本です。(武蔵野書院、2500円+税)
  http://shopping.yahoo.co.jp/shop?d=jb&id=30790636

  この本は、最近、私が手話サークルでやっていた感情に関する例文がたくさ
ん載っているんです。例えば「じれったい」ならば
  - ああ、もうじれったい
  - じれったくて見ていられない
  - 聞いている方がじれったい
  - じれったい子ね
  - 聞いている方がじれったくなる
といった具合です。この本には、このような気持ちを表す言葉を53項目も収録
しています。いやー、これでしばらくサークルでのネタは大丈夫そうです。た
まには本屋をふらついて見るものですね。

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  今週末は、私にとって初めての全通研代議員会ですので、来週は全通研関連
のネタになると思います。

  では、また来週。

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