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    メールマガジン 「語ろうか、手話について」

No. 60                                              2001年10月 3日発行
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  みなさん、こんにちは。秋も深まってきました。スポーツの秋、読書の秋、
食欲の秋。皆さんの秋はどんな秋ですか?

  今年の8月29日に配送した「語ろうか」で紹介した、手話コミュニケーショ
ンの最新号が先日届きました。あまりに早くて驚きました。それでも、まだ
2001年3月号なのですが、今回は締め切りを守る人達ばかりだったようです。
この号は「手話とデジタル技術」というテーマで、工学的な話がてんこ盛りで
す。自然言語処理の回でも述べたsIGNDEXの話も詳細に述べられていますので
興味のある方は是非ご購読を。

  さて、映画「どんぐりの家」の話もいよいよ最終回です。石川県の上映会の
様子と余談を語っていきます。

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  野々市町での上映会も終わり、次に県サ連を中心とした石川県内の上映会も
迫ってきました。金沢地区が1998年の2月21日、小松地区が7月19日、能登地区
が10月26日。もうこの頃は、県サ連の事務局というよりは、森川さんを中心に
件の販売、広報、そして上映活動が進められていました。

  金沢上映会の当日は雨となってしまいました。土曜日の1日限り、3回の上映
会です。チケットはじゅうぶん黒字になる程度売れていました。問題はお客さ
んが偏って来場してしまうことです。金沢のど真ん中という石川県内で最も人
が多いところで開く上映会ということもあり、会場前から心配の種はいくらで
もありました。
  午前中はやはり満員とはなりませんでした。ということは、残りの2回にチ
ケットを買っただけのお客さんが来るはずです。しかも、外は雨。そして映画
上映時間は2時間ともなりますから、待ってもらうわけにもいきません。
  そして午後の1回目の上映会。心配は的中しました。席の数以上に集まって
しまったお客さん。もう余裕なんか全然ありません。雨ということもあって、
とにかく会場に押し込んでしまいました。不快指数も高く、大変ご迷惑をかけ
た上映会だったと思います。アンケートにも厳しい意見が多かったのを覚えて
います。
  最後の3回目の上映会。幸いにも、来場されたお客さんの数は会場の席の数
を下回り、ようやくおちついた上映会となりました。まったくもって2回目の
お客さんには申し訳ない結果となりました。最終的に動員数は2000人を越え、
とりあえず成功となりました。これはチケットの実売数よりは少なかったので
お情けでチケットを買ってくれた人もいたわけですが、これで自信をつけたの
は確かです。

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  記録をひっくり返してみたら、我々は、小松地区以降の上映会になだれ込む
と同時に、知事からの推薦を取り付けています。つまりは、お墨付きってやつ
ですね。こんな方法もあるんだなぁ、と思ったことを記録を見ながら思い出し
ました。

  小松地区は私は参加していませんので、よくわかりません。記録によれば、
1767人の動員数とあります。

  それ以外にも、7月には学校上映会という形で、小学生や中学生を対象に上
映会を開いています。この学校上映会は、形式上、結構悩ましいものがありま
した。というのも、当初から、この映画は小中学生にこそ見て欲しい、という
気持ちが我々にはあったのですが、基金による映画の制作という縛りがあるた
め、その開催のためには、何らかの理由が必要だったからです。我々というよ
りは、これは全国上映委員会の方々も同じ気持ちであり、最終的には「学校上
映会は、基金の上映権利とは別枠で」ということになったのですが、一応、石
川では金沢地区の権利を使ったという形で、活動が進められました。特に中学
生を相手にした西南部中学校の場合は、金沢市にあるSATYという(最近倒産し
て大騒ぎしているマイカルの)巨大スーパーマーケットのシネコンで行われま
した。私は体育館に集められて映画を見た記憶しかないのですが、その地区で
は中学生とその父兄を対象にした映画上映会が普通の映画館を借りて行われて
いるそうなのです。あんな立派な施設で見られるなんて羨ましいなぁ、なんて
思ったりしていました。
  学校上映会は全部で13回行われたそうです。

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  私の中では最後の記憶である能登地区上映会は、小高い丘の上にある「のと
ふれあい文化センター」で行われました。能登は人も少ないし、収益があがら
ないかもしれない、など色々な意見があり、チケットも大人を1000円にするな
ど、ひともめした場所だったので、事務局としても気合いを入れる意味で会長
と副会長、そして私が当日スタッフとして参加しました。上映活動の大変さは
打ち合わせなどにあり、当日に手伝える事なんてたかがしれているのですが、
それはそれ、これはこれ。こういうことでもないと、なかなか遠いところに住
む役員や会員との交流もないということで、張り切って行きました。

  会場は広々したところにある小ぎれいな建物で、多目的ホールなどがある宿
泊施設でした。駐車場から施設までの距離があるし、10月という風の冷たさも
あり、この距離をお客さんが本当に来てくれるか、内心不安になったことを覚
えています。午後2時からの1回上映という、一発勝負。野々市や金沢の上映会
とは、また違った意味での緊張感がありました。

  それでも、時間になると、親子連れを中心に沢山の方々が見に来てくれまし
た。映画の途中では、わんわん泣いている子供を母親がホールに連れ出してき
てあやしていたりして、映画の影響を改めて感じました。子供には難しい映画
だったかもしれませんねぇ。

  能登地区の上映会では463名の方が見に来てくれました。無事に黒字会計と
なり、能登地区上映委員会も、県サ連事務局も、ほっとしました。

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  記録によれば、このあと1999年2月21日に加賀市文化会館で上映会が行われ
1623人の方が見に来てくれたそうです。
  ちょっと時間がさかのぼりますが、1999年の1月10日にプロデューサーの中
橋さんが来沢し、全国の様子を聞いたりしています。その時の話では、全国で
100万人を越える人が見て、上映会も3000ヶ所を越えたということでした。

  この後の石川県内の上映会のことは、私の記憶にはありません。というのは
2つの理由があります。1つは、ほとんどの事務作業を森川さんに任せて、私は
パンツのゴムのように安心しきった状態であったこと。もう1つは、大学を退
学して2000年を前にして石川を離れたからです。石川県ろう協の機関誌「ろう
あ石川」によれば、最終的な収益金は1,058,098円になり、2000年6月にそれが
県ろう協に寄付されたそうです。これほど楽に100万円ができたのは、映画の
力と、森川さんや吉本さんの力、そして映画に関わった色々な人達の力による
ものと思います。特に森川さんのパワーには、本当に助けられました。1人の
やる気が、これだけの人を動かせるんだなぁ、とつくづく感じました。

  石川では学校上映会を含めて、最終的に20回の上映会を行い、1万6000人の
観客動員数となりました。老若男女、手話に関係ある人もない人も、幅広く活
動が広まったという点でも、この上映活動は大成功だと思います。

  石川県での上映活動の記録を締めくくるにあたり、吉本さんと森川さんから
コメントを頂いたので、ご紹介します。

  吉本弥生さん
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    私は、言い出した「きっかけ」に過ぎず、徳田さんも、石川で上映会を
  と思っていたし本当にいろんな人の気持ちや力があって、できたことだな
  と思っています。
    特に、学校上映などでは、金沢の森川さんが尽力されたお陰だと思いま
  す。多くの小、中、高校生たちが、『どんぐりの家』を見てくれたことが
  とても嬉しかったです。
    すぐにではなくても、心のどこかに残っていて、どんな人も住みやすい
  社会づくりにつながっていってくれたらいいなと個人的に思っています。
    また、手話サークル・ろうあ協会のみなさんや、ほかの色々な団体の人
  たちが、共に上映活動することによって、出会えたこと、つながりを持て
  たことも嬉しかったです。手話を知らない人も、ろうあ者と一緒に活動を
  して、自然に笑い合っていたり手話コーラスをしたり、見ていて、嬉しい
  光景でした。
    初めは、個人的に上映会をするつもりでしたが、こうして広がりをもっ
  たものになって、勇気を出して、言い出してよかったしそんな方向へ進め
  てくれた石川県手話サークル連絡協議会にも感謝しています。
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  森川保さん
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    現在も「どんぐりの家」上映会での経験を生かして、地元での「ろう教
  育を考える全国討論集会」の実行委員として、ある程度忙しい毎日です。
   「石川県でも、ろう重複の人が集い、未来に向かって話し合う日」を夢
  見て生きていく一つの人生のスタンスは変えません。
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  この「語ろうか」の原稿が、ろう教育を考える全国討論集会に間に合わなく
て、森川さんには、とても申し訳なく思います。皆さん、石川県に森川さんと
吉本さんありと、記憶してくださいね。

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  さて、余談ですが、この石川県内の上映会活動のPRの一環で、FMラジオに出
演したこともあることを思い出しました。私だけではなく、ろう協の対策部長
金沢地区の上映委員の人と一緒で、どちらかといえば、私がおまけだったので
すが、ろう者がラジオ放送に出演ということで、とても珍しい体験をさせても
らいました。対策部長が手話で話し、それを通訳者が声に変えたのですが、現
場に立ち会ったというだけで、私にはもう十分満足でした。はい。

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  私の手元に「映画「どんぐりの家」上映運動の総括報告集」という冊子があ
ります。これによれば、「どんぐりの家」は最終的に1202の市町村で3225回の
上映会が行われ、100万人を越す観客動員数となったとあります。私はあまり
映画業界に詳しくありませんが、この数字って実はとてもすごくないですか?
ざっくばらんな席で、プロデューサーの中橋さんがこんなことを話してくれた
ことがあります。「この映画のやり方には、業界から恨まれた部分もありまし
てね。それは、あの基金のやり方です。映画を作るための資金集めというのは
大変な苦労があります。それを、個人から、全国的に、10万円を集めて映画を
作ってしまった。とてもズルいと(笑)。そして、個人で10万円を出すことなん
て、そうそうあることではないから、しばらくこの手は使えない。だからズル
いと(笑)」。中橋さんは冗談交じりに話していましたが、たぶん、相当な苦労
があったのだろうと思います。

  この映画の収益金は、ある共同作業所の設立資金に使われたり、外国語字幕
の作成に使われたり、重複施設の交流集会の開催に使われたりしています。映
画の影響ははかりしれないものがありますが、今でも一番の成果だと思われて
いるのは、京都、大阪、埼玉の3つの重複障害者施設に対して国から2名ずつ3
年間の職員配置の助成金が出たことです。これは明確に映画の影響とは、どこ
の国の文書を見ても書いていないそうですが、タイミング的に、この映画の影
響が強かったと感じています。当時、すでに不況の波が日本を襲っていました
が、その中で、国に人件費を出させたこの映画。とてもすごいと思います。

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  さて、中橋さんは冗談交じりに笑いながら話していましたが、この映画も資
金集めは予定通りには行かず、アニメも予定通り製作が進まず、映画の後半は
実写でごまかしている部分があります。ごまかしているというのは言い過ぎか
もしれないけど、やっぱり、唐突で私には違和感があります。そのため、映画
の完成度としては下がっているように感じます。マンガは良かったけど、映画
はちょっと... というのが私の率直な気持ちです。こんなことは書かない方が
いいのかもしれませんけど、率直に言って、映画も良かったけど、原作にはか
なわないな、と思います。原作は全7巻。今、再編集されたのが3巻組で売って
いますが、読み直すたびに色々なことを思います。最初の頃の重複障害の話、
真ん中あたりの施設を作って話、後半のろう協やサークルによる運動の話。こ
のマンガには色々な要素が詰まっていて、どれもこれもドラマチック。そして
最後には本当に施設ができる。実話なんですから驚きです。

  映画は重複障害と施設の話に終始しますが、実は運動面も描こうとしていた
んですね。手元になぜかシナリオの検討稿というものがあります。(なんで、
石川の片田舎に住んでいた頃の自分が、こんな資料を入手できたのか不思議!)
これによると、映画の最後の四分の一は、川田理事長の青年時代の苦悩、癌で
亡くなる内野さんのこと、土地を寄付するために親に頭を下げる岡本さん、年
末に信託基金を集める人々(以上、全部映画の中の名称)、コミックではどれも
名場面ですけど、それが盛り込まれています。たぶん、最後になって資金も時
間もなくなって、あの川田理事長やどんぐりの様子の実写になったんでしょう
ね。個人的には、収益が出たなら完全版なんてのも期待したのですが、結局、
芸術的価値よりも実利を取った中橋プロデューサーに拍手したいと思います。

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  最近、BSでも、放送されたそうですが、ビデオも販売されていますので、あ
の感動をもう一度という方は、是非どうぞ。ビデオの販売は以下までお問い合
わせ下さい。

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  ビデオ「どんぐりの家」 VHS 110分 日本語字幕付き
    長編ドキュメンタルアニメーション
    原作: 山本おさむ
  個人観賞用: 7000円+税
  上映権付き: 15000円+税
     (上映権付きは貸し出し、上映会で利用するための著作権保護の意味で
      個人鑑賞用より高くなっています。個人鑑賞でない場合は、こちらを
      ご購入下さい。)
  問い合わせ先 : 映画「どんぐりの家」全国上映委員会
      〒164-0011 中野区中央5-41-18 5F
         TEL. 03-5385-2216
         FAX  03-5385-2299
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  では、また来週、普通の「語ろうか」で会いましょう。

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