d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★

    メールマガジン 「語ろうか、手話について」

No. 45                                              2001年 5月 9日発行
d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★

  こんにちは、1週間ぶりのご無沙汰です。
  連休も終わり、あとはひたすら仕事するだけです。さよなら、春の日。これ
から、寒くなるまで働き通しです。さらにIT講習会もありますし、てんてこ舞
いです。

  今回は5回区切りなので、私の過去の話をします。No.40に引き続き、映画「
どんぐりの家」上映会の話です。

----------------------------------------------------------------------

  前回は、個人で10万円の基金を出してしまった、思い切りの良い吉本さんに
会いに行ったまでをお話ししました。でも、本当に上映会が実現できるのかど
うか、なんとも不安になったのも事実です。吉本さんの思いきりのために、上
映会活動に巻き込まれることが確定した私は、果たして、この上映会が成功す
るためにはどうすればいいのか、冷静に考えてみることにしました。

  1. この映画は本当にできるのだろうか?
     映画は1997年4月から公開できるという話ですが、それまでに製作が終わ
     るのかが不透明でした。何よりも、基金が集まらないと製作どころでは
     ありません。10万円は高額だし、1000口も集まるのでしょうか?

  2. 県内で上映活動するとなると、県内のどこでもできるんだろうか?
     映画は1口で1市に上映を限定するという規則があります。これが全国上
     映実行委員会が死守する絶対項目であることはチラシからも伝わってき
     ました。10万円は出す方にしてみれば高額ですが、映画を作る側にして
     みれば少額です。ハリウッドの映画なんて何億ドルですよ。それに比べ
     たらアニメとはいえ1億円。トトロで有名なジブリだって、うん十億円か
     かっているんですから。この1口1市(もしくは町、村)をなし崩しにした
     ら、基金が集まらないのは目に見えていました。
     しかし、払う側にしてみれば、これまた大変です。石川県には市が10あ
     ります。全ての市で開催しようとすると、100万円が必要です。100万円
     という、その現実の前に私は呆然としてしまいました。

  この懸案は全国上映委員会でも同じように持っていました。それは後で話す
として、まずは石川県内の意識固めです。県ろう協、全通研の役員に個人的に
相談して、見込みを聞いてまわりました。案の定、最初はあんまり良い返事を
もらえませんでした。

  というのも「四つの終止符」上映会という苦い経験があったからです。金沢
の1ヶ所上映、1日だけ、午前と午後の2回上映でしたが、そのための準備や会
議がえらく大変で、収益もほとんど出ず(元締め? というか、配給していると
ころが、ほとんどもっていってしまったからです。ま、映画では普通の話です
けど。)、みんな疲れたなぁ、という印象だけ残した話でした。私は、まだそ
の頃、県サ連事務局には入っていなかったのですが、その時の経験メンバーは
「もう映画の上映は二度とやりたくない」という意見でした。

  しかし、吉本さんが思いきったのですから、我々も後には引けません。今ま
で、ろう協に引っ張られてばかりだったのです。今回ぐらいは引っ張り返して
やれ、なんて思いもありました。冗談半分、本気半分です。

  まずは1996年の県サ連の定期総会。まずは、ここで「どんぐりの家」上映活
動を盛り込むことです。この計画が承認されれば、今後の活動がやりやすくな
ります。この年は障害者プランなど色々なことがあって、県サ連の組織に事業
部を設けることがすなんりと通ってしまいます。まだ1年先の話ということで
どんぐりの話はあまり関心を引かなかったようです。そして、副会長や書記な
どの役員が決まらないので、事務局一任という事態が起きる一方で、事業部長
として吉本弥生さんを迎え、映画「どんぐりの家」上映会に向けて動き出すこ
とになります。

----------------------------------------------------------------------

  県サ連としての腹は決まりました。しかし、問題は全国上映委員会です。県
サ連の定期総会を開いている時点で、全国の動きは全然つかめていませんでし
た。本当に映画を作っているのかどうかさえわからないので、不安なものがあ
りました。そんな時、全国上映委員会は1996年7月に発足式が、原作者の山本
おさむさん、議員のコロムビア・トップさんを招いて開かれたと聞き、「あぁ
本当に作っているんだな」とちょっと安心したことを覚えています。

  そこで、こちらとしても具体的なモデル作りを始めました。この頃から、理
屈は徳田、説得は吉本の体制が整ってきます。実態はともかく、学生でずっと
コンピュータなんかを扱っている徳田には小難しいと計画を作らせておけばよ
い。話をする時は、おだやかな吉本さんが適任、というわけです。
  そんなことを言われても、こんなことをするのは初めてです。コンピュータ
と映画上映運動は関係ないだろう、と思いつつも、最初にかなり無謀な計画を
立てます。とにかく、石川県内でくまなく上映しようということで、12口、つ
まり120万円を集めることを提案します。12ブロックの根拠は、石川には地域
ろう協が石川県内には9つあり、県ろう協とあわせて10団体。これに県サ連と
全通研の力を合わせれば、+2ぐらいはできるだろうと考えたのと、石川県を面
積で12分割すると加賀市や輪島市ぐらいになるのでちょうど良いだろうという
ことからです。なんとも、突っ込まれやすいあやふやな計画です。

  計画は無謀でしたが、動き始めました。なにはともあれ、お金です。さらに
捕らぬ狸の何とやら、収益金を情提の建設資金に募金するという目的も決まり
ました。目的をこのように設定したので、ろう協や全通研からの協力も得やす
くなり、福祉大会や体育大会でバザーもすんなり開けました。さらに、小松市
の市民イベントでは、サークルを中心にしてバザーに参加しました。

----------------------------------------------------------------------

  1996年の秋も深まる頃、事業部のバザー収益金が15万円を超え、1口分の基
金ができました。そして11月の一泊研修会で、どんぐりの家の施設長の細野さ
ん、映画プロデューサーの中橋さんを迎えることが決まります。どんぐりの家
上映に向けて、盛り上がり確実。が、直前で細野さんが欠席になり、中橋さん
に突然講演時間を延ばしてもらい、なんとか時間を埋める、という荒技を繰り
出しながらも、雰囲気だけはどんどん盛り上げていきました。

  ただ、この頃になると、12口計画は無謀だ、という声も出てきます。基金も
15万円で1口分しかないのですから、とても120万円なんて無理です。各地へオ
ルグ活動をしながら、県内を3分割、つまり3ヶ所上映にするよう計画を切り替
えていきます。3ヶ所は、能登、金沢、加賀という石川における黄金の3分割。
地域の分割はこれでいいとして、次にお金の処分方法です。最終的な収益は情
提建設基金に寄付するとしても、必要経費はどうするのか? といった話です。
地域によっては、上映活動に手話サークルやろう協だけではなく、他の障害者
団体や共同作業所も加わってきます。元々、そういうことを期待して作られて
いる映画ですから。でも、そうなれば収益金を全て聴覚障害者のための情提に
寄付するというわけにもいきません。そこで、収益金の処分方法は地域の自由
とし、もし赤字になれば、少額なら収益が出た地域から補完する。大きな赤字
にならないように各地域で努力する。事前に予算を出してもらうので、そうい
うことにはならないと考える。そして手話サークルに分配された分の収益は情
提建設のために寄付してもらう。という方針が決まりました。1996年12月15日
県サ連臨時代表者会議でのことです。

  基本方針はこれでいいとしても、いくつか問題が残っていました。
  まず、地域を3分割したとして、実際に上映するのはどこかということ。金
沢は市として面積も広いし、協力団体も全て金沢に所属しているし、上映施設
もあるので問題はありませんでした。加賀は吉本さんがいる地域です。吉本さ
んは加賀市で上映会をしたいと考えていましたが、加賀の運動の中心地は小松
市です。権利は1口で1市町村に限定されるので、どちらかでしか上映できませ
ん。協力だけやって、自分の地域で見られなければ損した気持ちになります。
果たして、実際に上映するのはどちらか? この問題は保留されたままとなりま
した。一方、能登は逆です。どの地域も人口が少なく、どこで上映するにして
も人手や動員数が問題となります。こちらの方がさらに深刻な問題ですが、保
留となりました。

----------------------------------------------------------------------

  1996年度はこうして県内の意識固めも終わり、1997年度の定期総会は無事に
全ての議案が通りました。ほとんどの役員が留任。この頃には上映基金も18万
円となり、もうすぐ2口。あと10万円で目標達成というところになりました。

  そんな中、全国上映委員会の集会があるということで、県サ連からも様子見
に代表を送り込むことになりました。派遣されるのは、いいだしっぺの吉本さ
んと、千葉に里帰りするついでの私。1997年東京は中野に集まった人達は全国
各地から、様々な取り組みを報告しあい、今後の説明を聞いたのでした。この
時の全国上映委員会は、1つの区切りとして重要な意味を持っていました。ま
ず、当初の予定より大幅に映画の製作が遅れていることがはっきりしたこと。
当初の予定では1997年の4月から公開する予定でしたが、この時にまだ集会を
開いているぐらいです。遅れは約半年。この話は以前から伝わっていたのです
が、大阪など場所の確保を1年以上前からしなければならない地域では大打撃
を受けたようです。石川県の我々は、元々遅れを見越して計画していたので、
ほとんど打撃を受けませんでした。それよりも、上映基金の申し込み締め切り
が延びたので助かったぐらいです。
  全国上映委員会からは、基金が結局1000口に達成しそうにないことも報告さ
れました。逆に映画製作費は1億円を超えそうであることも報告されました。
事実上、赤字ですが、映画上映後のビデオの販売権により赤字にはならないだ
ろうという話で、地域の方々には秋からの上映会に向けて活動を続けて欲しい
とのこと。これまで、映画の状況はチラシをちょっと見たぐらいでよくわから
なかった、この時の説明でようやくホッとしました。

  各地からの報告もすごいものがありました。どんぐりの家の地元である埼玉
県では100ヶ所を越える上映会が計画されているとのこと。青森県では全県民
の1%に見てもらうぐらいの計画を進めているとのこと。そういう話を聞いてい
ると、県内わずか3ヶ所の上映会ぐらいで「ふぅふぅ、大変」なんて言ってい
られないなと気持ちを引き締められました。

----------------------------------------------------------------------

  さて、石川県内の動きに話を戻します。県内では2つの事態が勃発していま
した。時間が前後してしまいますが、話は前述した定期総会より少し前にさか
のぼります。

  一つ目は県ろう協が基金を1口捻出することになりました。これで上映地域
は4ヶ所となりました。でも、その1口はどこに使うの? 損する所は嫌だぞ、な
んて話も出てきて、またもめそうな感じもしましたが、とりあえず場所は保留
となりました。

----------------------------------------------------------------------

  もう一つは、もっと時間がさかのぼりますが、全国上映委員会に電話で問い
合わせしている段階の時です。1地域は市町村だと人口比などで問題が大きい
んじゃないのかなどとごねている頃ですが、同時に意外な、とは言え、予想し
ていた情報が入ってきました。それは石川県では上映を目指す団体がもう一つ
あるというのです。これは当初から私が懸念していたことで、10万円は私は出
せないとしてもロータリークラブのようなお金のある団体ならすぐに出せる額
です。
  でも、もう一つの団体はロータリークラブではありませんでした。「工房シ
ティ」という無認可の共同作業所でした。なんと、私の住んでいるアパートか
ら歩いて2分程度の所で活動している団体だったのです。6年以上住んでいるの
に身近にこんな団体があるなんて知らなかった私。とても恥ずかしく思いまし
た。「工房シティ」は養護学校を卒業した人が集まっている作業所で、倉庫の
ような場所を借りて活動していました。もう数年、ここにいるそうで、住宅街
の中にあるためか、私は全く気がついていませんでした。

  さて、工房シティは野々市にあります。話をしてみると、1口基金を出して
上映会をする方向で活動しているそうです。となれば、お互い協力してやって
いくのがベストです。そこで、野々市サークルとろう協は金沢地区とは分離し
て、野々市地区として活動していくことになりました。金沢に協力しないとい
うわけではありませんけど、両方を担うのは体力的に、人材的にも無理だろう
ということからの結論です。ただ、主導権を他団体に取られて活動すると言う
ことで、県サ連・ろう協側と工房シティとの連絡役という役割が私に降りてき
たのは、幸い中の不幸という感じでした。

  工房シティは、県サ連と違い、自らの作業所の運営費を稼がなくてはならな
いということで必死でした。県サ連は映画が見られればいい、という気持ちが
強いのですが、工房シティの場合は映画を利用して運営資金を稼ぐことを目標
としていました。工房シティは無認可ということでいつも金欠、社会福祉法人
格取得を目指していましたし、現在いる場所もいつまでも借りられそうにない
ので、お金はいくらあっても足りない状態でした。そのため、野々市の収益金
は、工房シティに全額寄付する方向で活動することになります。この時から県
サ連との微妙な足並みの違いに、しばらく戸惑うことになります。

----------------------------------------------------------------------

  野々市は工房シティを中心に県サ連の状況を見ながらも独自の道を歩み始め
ます。私は活動が孤立していくのは特に問題ないと思っていました。それより
は地域で結束している方が大事だろうと考えました。でも心配もありました。
それは手話サークルの力です。今までノホホンと活動してきた手話サークルに
映画上映なんてできるのだろうかと。その心配はしばらくして杞憂とわかりま
す。私はサークルの力をみくびっていたのです。でも、まだそれは数ヶ月先の
話。

  一方、県サ連にも強力な助っ人が現れます。

----------------------------------------------------------------------

  No.50は、助っ人登場の話から。

  では、また来週

----------------------------------------------------------------------
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して
発行しています。http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000038270)
----------------------------------------------------------------------
■登録/解除の方法
  メールマガジン「語ろうか、手話について」は、以下のURLよりいつでも
  登録/解除可能です。
    http://www.mag2.com/m/0000038270.htm
    http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/
■バックナンバーの参照
    http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/
    http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000038270
■掲示板
    http://www64.tcup.com/6411/tokudama.html
    補助的な情報を掲載しています。編集者への連絡はMailをお使い下さい。
■苦情、文句、提案、意見など
    Subjectに[kataro]を入れて、以下のアドレスまでMailをお送り下さい。
    個別には返事ができないかもしれませんので、ご了承下さい。
      tokudama@rr.iij4u.or.jp
======================================================================
○メールマガジン「語ろうか、手話について」(週1回以上 発行)

発行: 手話サークル活性化推進対策資料室
編集: 徳田昌晃
協力: 五里、おじゃまる子(ヘッダ作成)
発行システム: インターネットの本屋さん『まぐまぐ』http://www.mag2.com/
マガジンID: 0000038270

■意見、文句、提案、投稿は、居住都道府県名と氏名(匿名可)を添えて
  tokudama@rr.iij4u.or.jpまで送って下さい。
■メールマガジン「語ろうか、手話について」は、著作権は徳田昌晃に所属し
  ますが、基本的には転載・複写自由です。有効にご活用下さい。
======================================================================