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_/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』 _/_/
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No. 42 2001年 4月18日発行
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皆さん、こんにちは。
もうすっかり暖かくなりました。今年の夏は暑いのでしょうか?
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4月、それは定期総会の季節。そして会費を納める季節。研究者にとっては
憂鬱な季節です。というのも、所属している学会に年会費を納める時期だから
です。普通はいくつかの学会に所属しているものなので、ただでさえ高い会費
が積み重なると、えらい額になります。年会費貧乏という言葉があるぐらいで
す。私も数年前までは研究活動をしていたので、大変でした。学生会員だった
ので割安ですが、全部で、5万ちょいは払っていました。社会人は正会員にな
るので、払う額も倍になってしまうので、いくつかの研究会は辞めたのですが
それでも今年払った会費はすでに4万円を超えてしまいました。
手話業界に所属している人なら、この春の憂鬱な気持ち、わかって頂けます
よね。そう、あの全通研の会費です。まだ、私は払っていないのですが....先
日、私が所属する千葉県支部も定期総会が行われ、それと同時に年会費の請求
もありました。千葉県支部での年会費は1万円です。とりあえず残業でもしな
いと、と思いました。
ということで、今回はその全通研について語ります。なんと、「語ろうか」
の初回、No.1で全通研について説明すると言っておいて、半年近くたってしま
いました。最初に年会費の重い話をしておいてなんなんですが、皆さんも是非
全通研に入ってもらえればと考えています。どうぞ、よろしくお願いします。
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全通研(ぜんつうけん)正式名称を「全国手話通訳問題研究会」といいます。
会員は今年1万人を目指しているので、今はだいたい9500人ぐらい。全国に会
員がいる全国組織です。かなり大きな組織ですが、なんとまだ任意団体です。
現在NPO法人格を取得する動きもあるようですが、まだしばらく先の話になり
そうです。いちおうホームページもあります。あまりたいした情報はありませ
んけど。http://www.nippro.co.jp/zentsuken/
全通研とは何をしている団体か? 2000年度の事業報告を読んでみると、全国
的な活動としては、研究、組織拡大、機関誌発行、事業活動に分類できるよう
です。順番に見ていきましょう。
1. 研究活動
- 支部・ブロックの学習研究活動
全通研は都道府県ごとの支部から構成されています。それぞれの支部は
独自に活動しており、講習会や学習会を実施しています。支部の活動は
また、あとで説明します。
- 全国手話通訳問題研究会集会と全国手話通訳問題研究討論集会
全通研の全国大会は年に2回開かれます。それが研究集会と討論集会で
す。前者を通称「夏の集会」、後者を「冬の集会」と呼んでいます。夏
の集会は8月に行われており、今年は岡山で開催されました。内容は講
演会や講座、そして観光が中心で、どちらかというと座学や遊びの要素
が強いです。今年は8月3〜5日に北海道は函館市で開催されます。
冬の討論集会は、10個を越える分科会で構成され、2日間テーマに沿っ
た討論が行われます。「語ろうか」のNo.32あたりで参加予告していた
ので名称だけは皆さんご存じなのではないかと思います。こちらは夏の
集会と違って、遊びの要素は全然なし。分科会によってかなり特徴があ
り議論の応酬となるところもあれば、ひたすらレポート発表会が続くと
ころもあるようです。私は「サークル」の分科会に出ていますが、愚痴
の吐き出しどころという気はしています。ただ、その中にも貴重な情報
が混じっているので、とても面白いです。今年は大阪で開催されました
が、来年は2月9〜10日に福島県福島市で開催されます。
全国大会は参加者の情報交換という面もあり、知り合いが増えてくると
どんどん楽しくなります。元気だった、生きてた? なんて挨拶があちこ
ちで聞かれ、相変わらずエネルギッシュな人達を見ていると、こちらも
元気が出てきます。全通研に入って、一番楽しいイベントが、この2つ
の全国大会です。
- 全通研学校
これは数年前から始まった講義形式のイベントで手話や福祉に関する講
座が2日間集中で開催されます。夏に東と西で各1回ずつ開催されます。
今年は東京と福岡で開催されました。それぞれの会場では違う講義が開
かれ、東京では手話通訳理論を、福岡では相談活動をテーマにそれぞれ
4人の講師による講座が開かれました。私は東京の方に参加しました。
石原茂樹先生は手話通訳倫理綱領について成立の経緯から経緯をわかり
やすく解説され、市川恵美子氏は様々な事例研究をいつもの弾丸トーク
で解説され、とても勉強になりました。次の日は参加者をグループに分
け事例研究を実際に行い、これは自分には初めての体験でしたが、ケー
スワークとはこういうことかと、目から鱗の体験をしました。最後に手
話から離れ、英語通訳の世界について、上智大助教授の井上久美先生の
講義があり、通訳の先人としての常識、手話通訳の特殊性を考えさせら
れました。とにかく、この全通研学校は相当レベルが高い講義が詰まっ
ていると言えるでしょう。今年は仙台(7/14,15)で障害者福祉論、大阪
(7/28,29)で手話をテーマに開催されるそうです。大阪の方は全通研で
の手話言語学が展開されるようなので私はとても楽しみにしています。
- 手話通訳健康問題対策委員会
私はあまり関わりがないのでよくわからないのですが、通訳問題研究会
ですから、当然、健康問題も研究しています。手話通訳者の職業病とし
て頸肩腕(けいけんわん)障害というものが知られており、その防止や一
般的な労働災害について、全国調査を行っています。
- 手話通訳活動あり方検討委員会
通称「あり検」と呼ばれていて、様々な活動をしています。上記の大会
に運営や介護保険の調査などを行っています。ただ、実態は私にもよく
わかりませんが、何か資料を読んでいると「あり検」が作っていたりし
て、その活動の幅の広さや力のすごさを感じます。
2. 組織拡大活動
これは全通研に限った話ではありませんが、とにかく会員の拡大を目指し
ています。今の目標は1万人です。そのために全通研の活動を紹介し、支
部活動の充実、会報誌を発行しています。全通研の会報誌である「手話通
訳問題研究」は、かなり真面目に行政関係の取材が得意な雑誌です。年4
回発行されています。少し前の話を出すのは酷かもしれませんが、1回発
刊できなかったことがあったんですよね。しかも、不定期だったし。今は
かなり改善されてきており、全通研も一人前の団体として動いているな、
と思います。
3. 機関誌活動
2.で述べてしまいましたが、手話通訳問題研究の発行もありますし、あと
様々な本を発行しています。主に手話通訳活動に関する書籍ですが、市販
のありがちな手話本とは一線を画す内容は、やはり全通研しか発行できな
いものがあります。
4. 事業活動
他の部分と重なりますが、書籍販売やビデオ製作、販売をしています。
5. 共同事業
全通研単独での活動というのは、どちらかというと珍しくて(全通研学校
ぐらいかな。)ほとんどは全日本ろうあ連盟や手話通訳士協会との共同事
業が多いです。今年の事業報告を見ていると、年2回ですが、全国要約筆
記問題研究会との定期協議もしているようです。
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以上、全国的な活動を見てきましたが、全通研というと、普通の人は支部活
動を指します。全通研は1993年に佐賀支部をもって、全国47都道府県全てに支
部ができました。基本的に全通研は支部ごとの活動が主体です。私は石川県と
千葉県しか詳しくは知らないのですが、2つを比較しただけでも、えらい違い
があります。全通研といっても、活動内容は様々。サークルの延長のような単
なる勉強会しかやっていない支部もあれば、手話通訳派遣事業をガンガン進め
ているような支部もあります。
私は、全通研は手話通訳に積極的に関わる人が所属するような団体、と思っ
ていたのですが、中にはサークルがない地域でろう協の活動を補完するような
団体、とか、ろう協に対する健聴者団体、など全通研に対する思いは人により
様々です。これは地域での活動の違いにもよるようです。
そんなわけで、皆さんが全通研に入ると、こういう活動が待っている、と明
確に言うことはできないのですが、少なくとも、地域での活動が基盤となって
全国的な活動につながっていくことは忘れないでください。全通研学校や討論
集会のような高いレベルの大会が開催できるためには、地域の活動の積み重ね
があり、会員の会費による財政の裏付けがあり、会員の知識の集積によって成
り立っているわけです。ということで、是非、皆さんにも全通研に入ってもら
い、共に全通研の活動を盛り上げていって欲しいと思います。
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少し歴史を振り返っておきましょう。
全通研は今年設立27年目です。全通研の前身は1968(昭和43)年に行われた「
全国通訳者会議」です。これは全国ろうあ者大会に併設して行われたもので、
この頃は京都で「みみずく」という手話サークルが設立された時期で、朝日新
聞から賞をもらった伊東雋祐先生の自宅が事務局だったりと、全ての活動が個
人の力に依存していました。
それが、1974年の青森大会で発展的に全通研の設立となり、1980年に機関誌
の発行を運営委員会から切り離し、運営委員の下に企画調査部、組織部、事務
局、編集局があるという組織らしい体制が確立します。1986年に四役会議、常
任委員会が設置。「あり検」ができたのが1987年。運営委員会の下に各局が位
置づけられて、見た目にすっきりした体制が確立したのが1992年となっていま
す。
この全通研の発展の歴史は、ろう運動の発展の歴史に重なります。手話通訳
制度の確立、頸肩腕障害への取り組み、アイラブパンフ運動、情提設立、政見
放送の手話通訳。これらの運動はろうあ者が主人公であることは必要不可欠で
したが、主人公が主人公であるためには脇役が必要です。歴史を振り返ってみ
れば、しっかりと脇を固めていたのが全通研であり、主役を盛り立ててきた様
子が様々な資料から読みとれます。
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最初に会費が高いとぼやいておきながら、やはり全通研は辞められません。
人により色々な理由があるとは思います。ろう運動の一翼を担う責任感や充実
感で続ける人もいるでしょう。他の団体では手に入らないような情報を得られ
る場として重宝している人もいるでしょう。また、全国各地の同じ志を持つ仲
間に会えるというのも嬉しいことです。私自身は、まだ手話も満足に話せるわ
けでもありませんが、社会の変革を全通研という最先端の場で見られることが
とても面白いと感じています。とても贅沢なことですが、このような機会、人
として生まれたからには、体験しなければ絶対に損です。
これから全通研はNPO法人の獲得という自身の重要な課題を抱えながら、手
話通訳者の認定、要請、設置、派遣の充実という目標に向かって、ろうあ者と
共にさらに活動の幅を広げ、量も増えていきます。全通研は、手話通訳者だけ
ではなく、手話通訳に感心のある人でも参加できます。むしろ、後者の人達の
力が必要です。「語ろうか」の読者の皆さんも全通研の仲間として活躍される
ことを期待しています。
最後に、会費の話をしておきましょう。全通研の会費は、だいたい今は年間
1万円が相場のようです。これは支部ごとに多少異なります。活動の状況によ
り、なんとかやっていけると思えば8000円ぐらいの地域もありますし、活動を
充実させるためにはということで12000円の地域もあるそうです。決算報告を
読むと、だいたい交通費や人件費が大部分を占めています。活動するというこ
とはお金がかかるということをご理解下さい。
全通研は基本的に自分の住所のある都道府県支部に入会することになってい
ます。具体的な年会費は皆さんが加入する支部に聞いてみてください。
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では、また水曜日に会いましょう。
そして全通研学校や夏や冬の集会でも会いましょう!
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