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No. 12                                               2000年 9月20日発行
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             _/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』 _/_/
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  秋です。各地でスポーツ大会が開催される季節です。体を動かすことが人一
倍苦手な私には憂鬱な季節です。やはり、秋は読書の秋、食欲の秋。1匹100円
以下の秋刀魚を見るようになって秋を実感する、今日この頃です。

  京都の五里さんの協力で新ヘッダとなりました。しばらく色々なヘッダをお
楽しみ下さい。

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  このメルマガを始めてから聾教育についての質問がいくつかきています。特
に多いのが「なぜ、聾学校で手話が禁止されていたのですか?」というもの。
聴覚障害を持たない者にとって、聾学校は全く無縁の世界ですから、こういっ
た質問が出てくるのも無理からぬ事と思います。かれこれ10年前、手話につい
て学び始めた頃の私も同じ疑問を持っていました。ということで、今回のテー
マは「聾学校で手話を使わない理由」です。

  でも、最初に断っておきますが、今回のテーマはかなり私にとって苦手な話
です。というのも、私がそれほど聾教育に詳しいわけではないからです。実際
に聾学校を見たのは、何回かの見学と、何回かの聾教育関係の研究会に参加し
た時ぐらい。あとは、聾学校教員や元聾学校生徒の話を聞いたり、市販されて
いる本を読んだぐらいです。

  とは言いつつも「語ろうか」を続けていく上で、聾教育の話は避けて通れな
いと思っていたし、いつかはやらなければならないテーマだろうと思っていま
した。そこで、できるだけ慎重に、客観的に書いてみます。だから、今回の話
は間違ってはいないけれども、切迫感や説得力に欠けると思います。私の至ら
ないところには、Mailや掲示板等で是非、ご意見を下さい。

    そうそう掲示板があまり活用されていないようなので、気楽に書き込
    んで下さい。アドレスはhttp://www64.tcup.com/6411/tokudama.html
    です。

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  日本で最初の聾学校は、古河太四郎という人が京都に設立した京都盲唖院で
す。1878(明治11)年のことでした。盲唖院という名称からわかる通り、この学
校には盲と聾の生徒が通っていました。それに、聾教育は義務教育ではなかっ
たので(聾教育が義務化されるのは戦後です)、ここに通えるのは裕福な家庭の
子供達だけだったそうです。余談ですが、校舎がかなりへんぴなところにあっ
たため、人力車で通う生徒が多かったとか。(余談の話は、真偽のほどはわか
りません。ですから、余談。)

  現在の聾学校については、以下のWebページが参考になります。
     http://www.tsukuba-tech.ac.jp/zr/
     全国聾学校プロフィール

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  さて、聾学校では、国語算数理科社会はもちろんですが「養護訓練」という
時間があります。これは普通校にはなく、養護・盲・聾学校にだけある科目で
す。聾学校ではこの時間に日本語を教えます。(当然ですが、これは日本での
話。アメリカなら英語の習得を課題にしているはずです。)耳が聞こえないの
で、自然には音声日本語は習得できません。でも、喉に障害があるわけではな
いので発声はできます。そこで、相手の唇を読んで話したことを理解し、自分
からは声で発声する、これが口話です。口話を主体にした教育方法、つまり国
語算数理科社会も口話で教えることを口話教育と呼びます。

  「手話は?」という疑問が出てくるでしょう。初期の頃は、教育方法も試行
錯誤を繰り返し、外国から指文字を導入して日本流に改良したりしていた聾学
校ですが、そのうち口話教育一色になっていきます。むしろ手話は否定され、
聾学校では駆逐されてきました。昔の聾学校では生徒が手話を使うと、ビシビ
シ手を叩いたり、後ろで縛ったりというような体罰まであったそうです。
  最近ではそこまでひどい聾学校はないようで、どちらかと言えば手話を黙認
している所が多いようです。それでも、なかなか良くなってきていると言う人
もいれば、まだガチガチの口話主義だと言う人まで、評価は様々です。私の印
象では、地域や校風により、かなりの差があるように感じています。一般的に
言えることは、昔は積極的に手話を禁止し、今は消極的に手話を使用している
ようです。

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なぜ、手話が使われないのでしょうか? いくつか原因が考えられます。

- 障害者への差別意識

  障害者差別なんて過去の話のように聞こえるかもしれませんが、なかなか人
の意識は進歩しないというのが私の実感です。確かに町中で手話で話をしてい
てもジロジロ見る人はいなくなりました。でも、見えないところ、つまり心の
中での差別意識はそう簡単にはなくなっていないようです。
  少し前の話ですが、東京で重複障害者の施設を作ろうとした時に、付近の住
民が反対運動を起こしました。色々な理由をつけていましたが、つまりは自分
のうちの近くに障害者が居ることが嫌だということです。ベルリンの壁が無く
なり、ハイブリッドカーが走る現代において、このありさまです。聾学校が日
本に初めて作られたのは明治の頃ですが、その頃に手話を使っていたら、一体
どんな目で見られたことでしょう? 手話さえ使わなければ聴覚障害者は健常者
に見えます。手話で話すことに抵抗を感じた人が多かったことと思います。

  また、社会一般に、聞こえるものと同等のことができてこと、人として幸せ
だという考え方があると思います。聴覚障害を克服して、口話を習得すること
こそ、聾児の幸せと考えれば、手話を禁止し、口話を推進するのは自然な流れ
だったのでしょう。

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- 教員が手話を知らない

  教員になるにはどうするか? それは、大学の教員養成課程を卒業する必要が
あります。その中には聾教育課程もあります。では、その中で手話の講義はあ
るのでしょうか?
  昔は全然ありませんでした。今はごく一部の課程で手話の講義があるようで
すが、話せるまでには至らないようです。そりゃそうでしょう。大学には手話
が話せる人がいないのですから。

  教師が手話を知らなければ生徒には教えられません。手話は、いわば外国語
のようなものですから、それなりの時間をかけなければ習得はおぼつかないで
しょう。教員課程でそのような講義がない以上、聾学校に行ったとしても、現
場で子供に手話で教えられるはずがありません。

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- 手話が口話の邪魔をする

  手話を覚えると日本語を覚えないという説があります。この説は肯定する意
見と否定する意見があります。

  まず肯定意見。
  時間的に、手話を覚える時間が増えれば日本語を覚える時間は少なくなりま
す。これは1日24時間である限りしょうがない話です。それから、子供にして
みれば、楽に覚えられる手話と聞こえない日本語を比べれば、手話を覚える方
に熱心になるのは当然の成り行きでしょう。

  次に否定意見。
  「9歳の壁」という概念があります。これは言葉を覚えるためには9歳の段階
で母国語を身につけていないと、これ以上の歳になって言葉を覚えるのは難し
いという研究結果によるものです。個人差があるので一概に9歳ばかりにこだ
わる必要もないようですが、小学校の時期に母国語が身につくかどうかは、そ
の子供の一生を左右する問題でしょう。この説を信じれば、もし、その時期に
口話で教育したために、日本語の習得が中途半端になれば、その子の言語的能
力は中途半端なままになってしまうということになります。ですから、中途半
端よりは、習得しやすい手話をしっかりと母国語として身につけさせれば、言
語能力は十分につくはずです。その上で日本語を習得させればよい、むしろそ
の方が最終的な言語運用能力は高くなるということになります。

  どちらの意見ももっともなんですが、今までは否定意見が多く見受けられま
す。後者の意見は、最近になってから主張され始めた理屈なので、これからど
うなるかはわかりませんが。

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  どうにもうまく短くまとまらなかったので続きます。
  では、また来週。

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