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    メールマガジン 「語りあおうか、手話について」
                           (「語ろうか、手話について」増刊)

Extra No. 3                                         2000年 7月22日発行
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  皆さん、こんにちは。暑い日々が続きます。

  先日から始まった、日経新聞主催の夢テク博覧会では、手話の通訳システム
が出展されているそうです。
  公式サイト: http://www.nikkei.co.jp/events/yumetech/

  現在、日本では2つのグループが手話通訳システムに力を入れています。夢
テクに出展されているのは、郵政省の研究所と松下と工学院大学の共同プロ
ジェクトによるものです。もう一つは日立によるもので、マイムハンドの名称
で、たまにコンピュータ関係の展示会で見ることができます。(正確にはマイ
ムハンドは通訳システムではありませんが...) どちらも通訳をするには、ま
だまだですが将来こんな機械もお目見えするのかな、という雰囲気だけは感じ
ることが出来ます。夢テクの開催期間8月第一週までと短いのでお早めに。私
も行こうと思っていますが、そんな休みが取れるのかどうか...

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  前回の本編は、意外と反響が大きく、ちょっと驚きでした。基本的なことも
きちんと説明する必要があるんだな、初心忘れるべからず、と決意新たにした
次第です。

  今回のお題は、そんな反響へのフォローを含めて、次の3つです。

  - 接客についてのお便り紹介
  - 共通手話について
  - 夏休みの読書案内

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- 接客についてのお便り紹介

  聾者にはどんな接客をすればいいのか。あまり深い話は出来ませんでしたけ
ど(そもそも私が手を抜いてお便りを紹介して済ませてしまったのでした)、と
ても興味深いお便りをもらったのでご紹介します。

    住所不明、佳子さんからのお便り
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    1988年、アメリカのサンディゴに行った時、郵便局の窓口に黒人の聾
    唖の方が健常者と同じ様に接客していたのを知り、感動したのを今で
    も忘れられません。
    日本でこの様な状態が何時来るのでしょうか…
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  あまり、諸手をあげてアメリカを賛美することはない私ですが、こういう点
ではアメリカという国は遙かに進んでいるのだなぁ、と実感させられます。接
客を受ける立場だけではなく、接客する立場にも聾者が自然といる風景。なか
なか日本では見られません。
  と言っても、必ずしも聾者が接客をしていないかというとそんなことはあり
ません。日本では聾学校の専攻科に理容があったこともあり、理容店で勤めて
いる聾者は結構います。知り合いにもいるのですが、どこに勤めているのか知
らないので、まだ切ってもらったことはありません(^^;)

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- 共通手話について

  前回の「語ろうか」では手話の違いを強調しましたが、うっかり共通手話の
存在を忘れていました。これについては、1回分の原稿を書くだけのネタがな
いので、今回簡単に説明します。

  音声言語における共通語としては、エスペラントと英語が思いつきます。

  エスペラントとは、1887年にザメンホフという人が提案した人工言語です。
ヨーロッパ系の言語を取り入れて、なるべく特定の言語に偏らないように、誰
でも習得できるようにと作られた言語です。しかし、現在あまり広まっていな
いところを見ると、人工的に言葉を作り広めることが無理なんでしょう。
  手話にも人工的な共通言語があります。それはGestino(ジェスチーノ)と呼
ばれており、ヨーロッパの手話の公約数的な要素から作り上げられている手話
です。こちらは国際会議ではまあまあ使われているようですが、後に述べる
ASLに対して、少々分が悪いようです。

  音声言語では英語が共通語として圧倒的に優位な立場にあります。アメリカ
で使われている手話はASL(American Sign Language:エーエスエル)と呼ばれて
おり、これまた英語同様に世界各国に輸出されています。こういう面ではアメ
リカ人は大変熱心ですね。ということで、世界的にはASL対Gestinoという構図
があり、そのうち英語同様、ASLが共通語になっていくのではないかと思われ
ます。

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- 夏休みの読書案内

  聾学校での手話禁止、手話の成り立ちなどに興味がある人が多いようです。
私なりの解説は、今後、おいおいやっていきますが、それを待てない人のため
にいくつかの参考資料をご紹介します。夏休みと言えば、読書感想文。私は辛
い思い出しかありませんが、時間がある方は、この夏に読んでみてはいかがで
しょうか。

  - 手話の見かた考えかた 伊東雋祐著作集 手話と人生4
           伊東雋祐著、文理閣、1700円+税
      全通研委員長の伊東先生の著作集の1つ。シリーズの中でも売れ線で、
      京都で積み重ねられてきた運動の過程と共に丹念に書かれています。

  - アメリカの聾者社会の創設 誇りある生活の場を求めて
           John Vickrey Van Cleve, Barry A. Crouch著 土屋道子訳
           小林祐子監修 全国社会福祉協議会 1835円
      アメリカにおける聾者の歴史を記した本です。ミラノ会議についても簡
      単にふれられており、なぜ、ろう教育で手話が禁止されたかがわかりま
      す。

  - みんなが手話で話した島
          Nora Ellen Groce著 佐野正信訳 築地書館 2000円+税
      アメリカはボストンの沖にあるマーサーズ・ヴィンヤード島。昔、この
      島には沢山の聾者が住んでいました。私はこれを読んで、「広く手話を
      広めるのは可能かもしれない」と思いました。

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